2002年のエロゲーを振り返る

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 以下に掲載するのは,某所の2002年総括スレに私が書き込んだものを一部手直ししたものです。かなり前に書いたものなので,当サイト掲載のレビューの評価などと一致しないものがあります。また,以下の内容は私がやった範囲で書いております(つまり,積んである作品やそもそも刈ってない作品は考慮していない)。それらの点はご容赦ください。何かの参考になれば幸いです。

 年間総評というのを書くのは初めてだったので、どう書けばいいか悩んだのですが、取り敢えず各月の雰囲気・買ったものの個人的評価・(良い意味でも悪い意味でも)注目の作品とコメント・総評という形で構成してみました。刈ったのに評価し忘れているものがあるかもしれませんが、その点はご容赦ください。

【1月】「全体的に低調」
■購入■
 Princess Knights [C]、えらぶる-えらぶ+らぶ×ダブルで- [A−]
■注目■「えらぶる」(メイビーソフト)
 望月望女史の描くスーツ着衣Hは最高。他のシチュも着衣H中心で満足。ただ、編集作業は同じことの繰り返し&成功作しか再生できないのがマイナス。はっきり言って邪魔。

【2月】「陵辱ものを中心に狙うも不作」
■購入■
 アルティメットハンター [A]、雨に歌う譚詩曲 [B−]、凌辱痴漢地獄 [C−]、失格医師 [D]
■注目■
○「アルティメットハンター」(Xuse【本醸造】)
 某所では評価が低いが、個人的にはとてもやりがいがあって楽しめたと思う。難易度等も適切。絵・操作性・音声なども◎。ただ、あのエロアニメはちょっと……。
○「雨に歌う譚詩曲」(EMU)
 テキストが巧みでとても笑わせてくれる。それを演じる声優の演技も良く◎。ただ、シナリオの展開が性急すぎたのと、なによりインスト障害があったのはマイナス。

【3月】「低価格帯ソフトが席巻」
■購入■
 妻みぐい [B+]、DoNoR [A−]、V.G.Re-birth' [D]、RainyBlue-refrain- [積み]
■注目■
○「妻みぐい」(アリスソフト)
 新作を2,800円で出すという発想が凄いと思った。作品内容の方も、ちょも山女史の描く色気むんむんの人妻とのH満載(しかも着衣H中心)で満足。ただまあ、シナリオは……。
○「DoNoR」(rouge)
 シナリオがとても面白く読み応えがある。ただ、長い……。それとノベルゲーなので文字ばかり見る羽目に。エロの使い回しも△。もう少し読ませる工夫があれば名作だったのに……。

【4月】「前評判に反して不作な426戦線」
■購入■
 Ripple [B+]、咎 [E]、世界ノ全テ [積み]、D.U.O. -Song for all- [B]、
 426 [D](「アズラエル」のみB)
■注目■「Ripple」(戯画)
 なんと言っても加藤あおい嬢の存在が◎。厳しい制約の中でしっかりとキャラを立て、シナリオを組み立てている点は高評価。ただ、システムは最悪、ゲームパートが意味なし、一部音声のレベルが低すぎるものがある、短い、と作品自体の完成度が低かったのは残念。

【5月】「Floralia騒動の印象が強かったですね……」
■購入■
 神愛 [A]、Floralia [A]、univ-愛・おまたせっ- [D]
■注目■
○「Floralia」(Xuse【純米】)
 周知の通り、「萌えエロ」の元祖。「純愛系=エロは薄い(薄くても良い)」というエロゲー業界に蔓延するふざけた考えを打ち砕いてくれた点が大変良かった。シナリオ自体は標準的な出来だが、キャラを立てた上でHを上手く組み込めており◎。ただ、できるならもう少し純愛組のHと誘惑組のシナリオを拡充して欲しかった。
○「神愛」(cyc)
 目立たないが、シナリオの出来が良かった。ただゲーム性はない。

【6月】「玉石混淆の激戦・6月商戦」
■購入■
 朝の来ない夜に抱かれて [B]、奏 [D]、それは舞い散る桜のように [積み]、
 D.C.-ダ・カーポ- [C]、Lost Passage [B+]
■注目■
○「朝の来ない夜に抱かれて」(FC03)
 演出の妙が光る。ただシナリオが短い。
○「D.C.」(circus)
 そこまで酷いとは思わないが、キャラ毎のシナリオの出来に差が有りすぎ。
○「Lost Passage」(DEEPBLUE)
 コスプレHが堪能でき満足。ただシナリオが……。

【7月】「ゲーム性や独自性を出そうとして失敗した作品が多かった」
■購入■
 アルフレッド学園魔物大隊 [D]、Cage-囚われの記録- [B]、
 すめらぎの巫女たち [A]、Sultan -the love song is forever- [B]
■注目■
○「すめらぎの巫女たち」(D.O.)
 シナリオの出来が秀逸。ただ、ゲームパートは正直作り込みが足りなくてタルい。
○「アルフレッド学園魔物大隊」
 同じことの繰り返しで先が見えず、苦痛だった。個人的には×。

【8月】「比較的良作の多い月でした」
■購入■
 超昂天使エスカレイヤー [B+]、あいかぎ [C]、失楽の神女 [A]
■注目■
○「超昂天使エスカレイヤー」(アリスソフト)
 まさに「エロ」ゲー。おにぎりくんの描く絵もエロくて◎。特に遼子さんが最高だった。ただ、システムの出来がいまいちだったのと、同じことの繰り返しで飽きが来たのがマイナス。
○「失楽の神女」(MBS Truth)
 後半の駆け足な展開と夢オチ中心のHに賛否両論有るが、個人的には好き。特に制服のままの恭子タンを嬲るシーンは大いに抜けて◎。ただまんぼタソシナリオは人を選ぶ。

【9月】「エロ強化月間」
■購入■
 けがれた英雄 [B−]、TRUE BLUE [B]、はじらひ [D]、DALK外伝 [積み]、
 Princess Holiday -転がるりんご亭千夜一夜- [B]、勝・あしたの雪之丞2 [A+]
■注目■
○「汚れた英雄」(clockup)
 システム最悪・シナリオ破綻とゲームとしては×だが、それを補って余りあるエロがある。
○「Princess Holiday」(オーガスト)
 キャラ萌えゲー。全体的に丁寧な作りでHも濃い。ただ動作がやや重い&シナリオのレベルが低い。
○「勝・あしたの雪之丞2」(elf)
 シナリオの出来が秀逸。学園青春もののツボを押さえつつ、緻密にシナリオを編んでいて、プレー後に爽やかな読後感がある。システム・絵・音声・音楽なども文句なし。ただ、前作をプレーしているかどうかで作品への感情移入度が違う点は要注意。

【10月】「システム地雷が多かったですね……」
■購入■
 r.p.m. [D]、戦女神2 [積み]、なないろ [C−]、ルベニール [B]
■注目■「なないろ」(film software)
 萌えゲーとして、中身はいいんですよ、中身は。でもシステムが酷すぎる……。

【11月】「やりこみ甲斐のある非AVG系が多数発売」
■購入■
 蒼煌の城 [B+]、BALDR FORCE [A+]、闇の声2 [B]
■注目■「BALDR FORCE」(戯画)
 きわめて完成度の高い作品。やりこみ甲斐のあるゲームパート、緻密なシナリオ、作品にマッチした音楽・音声、綺麗な絵、軽快&必要十分なシステム周りと、文句なし。

【12月】「激戦の割にはあまり印象に残らない年末商戦でした」
■購入■
 エクソダスギルティー・オルタナティブ [積み]、淫陽師 [D]、
 MISSION OF MURDER [A−]、innocent world [C]、だぶるまいんど [B−]、
 ヤミと帽子と本の旅人 [A]、家族計画絆箱 [A−]
■注目■
○「MISSION OF MURDER」(Mink)
 絵が美しい。他は全て中途半端だが、なんでも詰め込んであるので微妙なお得感がある。
○「家族計画絆箱」(D.O.)
 シナリオ&音声が秀逸。ただ、絵(特に立ち絵)とエロ、そして何よりあのデカイ箱が不満。



【総評】

■「BALDR FORCE」など、やりこみ甲斐のあるゲームも中にはありましたが、基本的には紙芝居的なAVGが多く、ゲームとしての大作に恵まれない年だったと思います。

■新規参入メーカーを中心に、システム地雷が目立った年でした。特にインスト障害は最悪。動作の重さや諸機能の欠陥(特にスキップ関係)もプレイ中断の大きな要因になりました。

■「Floralia」以降「萌えエロ」が確立した点は印象的でした。純愛系だからエロ薄でも許されるというメーカー側の甘えがユーザーによって否定されたのではないかと思います。

■着衣H・コスプレHが豊作。服を着せたままHさせるゲームが多くなったのは個人的に◎。
  ○着衣Hお奨め作品(服の脱がし具合、Hの見せ方、服のデザイン、キャラ、妖艶さ)
    「えらぶる」「凌辱痴漢地獄」「DoNoR」「Floralia」「Lost Passage」「TRUE BLUE」
    「Cage 囚われの記録」「超昂天使エスカレイヤー」「失楽の神女」「けがれた英雄」
    「Princess Holiday」「闇の声2」「MISSION OF MURDER」「ヤミと帽子と本の旅人」

■発売日の一極集中が顕著になった年でした。一度に購入できる本数は物理的に限られてくるので、買えるゲームと買えないゲームが顕著に。ただ、激戦の割に作品のレベルが低い場合が多く、販売本数の割に印象に残る作品は少なかったです。個人的には発売日を拡散して欲しかったですね(特に注目作は)。一週間に何本もやるのは無理ですし。

■「妻みぐい」を筆頭にして、低価格帯のソフトが急増した年でした。

■必要スペック水準が高騰した年でした。特に、HDD容量の要求水準がG単位になったのは驚き。でも、だからといってそのスペックに見合った作品が出たかというと疑問ですが。個人的にはただ馬鹿みたいに容量などを増やすのはやめて欲しいと思いました。

■全体的に絵だけゲーが多い中、毎月1本位の割合でシナリオの優れた作品がでたのが印象的でした。ただ、どちらかというと学園もの・日常もののシナリオの出来が良く、ファンタジー系のシナリオは総じて不作であったと思います。

■意味もなく箱のデカイ作品が多かったです。やはり大きすぎるのはどうかと思います。持ち運びにも不便ですし、置く場所にも困る。目立たせてすこしでも客の目に触れる機会を増やそう、というのはわかりますが、やはりものには限度というものが有るのではないでしょうか。個人的には「ヤミと帽子と本の旅人」のような、小さいパッケージでありながら凝った作りにしてある梱包が好きですね。

■システム地雷の話とも関係しますが、バグが多かった。なかにはデバッグをしてないんじゃないかと疑いたくなるような作品も散見されました。やはりデバッグはメーカーとして最低限のマナーですし、これがいい加減だと信用をなくすと思いますね。

■個人的2002年発売ベストソフト6選(5選に絞れず……。敢えて順位はつけません)
   「BALDR FORCE」「アルティメットハンター」
   「勝・あしたの雪之丞2」「神愛」「失楽の神女」「すめらぎの巫女たち」
  ……上段はゲームの出来が良くとても楽しめた為。下段はシナリオの良さで。

■シナリオの良かったゲーム(構成、読み応え、説得力、感銘度合)
   「DoNoR」「神愛」「すめらぎの巫女たち」「失楽の神女」「勝・あしたの雪之丞2」
   「Revenir」「BALDR FORCE」「ヤミと帽子と本の旅人」「家族計画絆箱」


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