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 朱[-Aka-]
 メーカー名:ねこねこソフト
 発売日:2003/06/13
 メーカーホームページ:
http://www.din.or.jp/~nekoneko/   評価:B(70点)
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 試聴した主題歌「砂の城」が良かったのと,砂地を舞台にした世界観が気に入ったのとで購入しました。因みに,ねこねこソフトの作品はこれが初挑戦になります。果たしてその出来は……?

【ゲームシステム・内容】
 ごくごく一般的なビジュアルノベルです。攻略性・ゲーム性は皆無といっても過言ではないかと思います。お話を読んで楽しむタイプのゲームですね。

【システム】A−
 システムはNScripterを使用しており,大変使いやすかったです。機能的にも十分で,動作も安定・軽快。プレーしていて不満に思うことは無いかと思います。ただ,若干メッセージスキップが遅めなのと,バックログ時に音声を再生できない点は不満ですね。特に後者は,個人的にはストーリー重視のゲームでは必須(聞き逃したものを再度再生したり,気に入った台詞をもう一度聞き直したりできるといいなあ)と思っているので,かなり残念。

【音楽・音声】音楽:S,音声:B−
 音の演出に関しては【演出】の項で述べるので,ここでは個々の出来についてコメントしたいと思います。
 まず音楽は……凄すぎ。ボーカル曲5曲(しかもエロゲ主題歌としてはかなり高レベル),というのはかなり驚きました。また,BGMの方も,砂地のイメージにあった(どことなくアラビア風な)楽曲が中心で,とても良かったです。こう音楽の出来が良いと,同梱特典にサントラが入っているのはとてもありがたいですね。個人的にはボーカル曲「砂の城」「朱」「砂銀」や,BGM「Desert」「揺れる陽炎」「西へ」「闇夜」「灼けた日差し」等がかなりツボに来ました。音楽については大満足ですね。BGMの中には特典CDに入っていないものもあるので,そこら辺を補完したサントラが発売されたら買ってもいいな,久々にそう思えるほどの出来でした。◎。
 次に音声についてですが,標準以上のレベルではあったと思います。特に脇役は有名な方ばかりで固めているだけあって,かなり良かったです。とりわけ,イブラやニムラムをはじめ,何役も(しかも台詞にして第1章の8割近くを)北都南さん一人が演じきっていたのには驚きを通り越して感心しました。個人的にはこれだけでも買った価値はあったかな,と思いましたね。
 ただ,脇役が高レベルなのに対して,ヒロイン4人,とりわけチュチュの声が幼すぎる&演技力が低いのはかなり気になりました。ヒロイン4人の声が絵以上に幼くて,個人的には合わないなあと思いました。また,基本的にエロシーンの喘ぎなどが下手だったのも残念ですね。もう少し修練して頂きたかったです。

【演出】
 本作では演出につき気になった点が多数ありましたので,ここでまとめて言及したいと思います。
 (1) まず,ビジュアル面について。「映画を意識」しているとのことですが,その目論見はかなりの程度達成されたのではないかと思います。システムのレイアウトや絵・文字の表示等がかなり凝っていて良かったです。個人的にはセンスがいいなあと思いましたね。
 ただ,作中,回想シーンではモノクロームになるんですが,あまりにモノクロの時間が長くて味気ない&間延びした感がしたのは残念。個人的にはモノクロームのシーンは効果的に適度の分量だけ挟み込んだ方が良いと思います。第4章など,ずっとモノクロのままゲームが続いていったので,かなりクドく感じてしまいました。また,「銀色」でアラミスに視点が戻ってきた時もモノクロが続いていたんですが,あれは何なんでしょうか? 意図がよくわかりませんでした(単なる演出ミスかもしれませんが)。
 (2) 次に,音について。最大の不満は初回プレー時にアラミスの声が無いこと(2周目では有り無しを選択できる)。プレー中,その意図が全くわかりませんでした。あとでOHPを見たところ,

  >「テンポ」を速くする為です。ゲーム開始時なので、
  >キャラ立てよりもサクサク進むことを優先しました。

 との事だったのですが,もしそう意図して声無しにしたとするならば,それは大外れだったと言わざるを得ないと思います。というのも,アラミスだけに声が無く,他の脇役やヒロインの声はあるので,他キャラとの掛け合いなどでアラミスの発言部分だけ(男キャラと同様)無音になってしまい,却ってテンポが悪くなってしまうからです(それに速さだけを問題にするなら,全ての音声をオフにするかメッセージ自体をスキップするかしない限りそう変わるものでもないと思いますし)。また,(1)ゲームを終えた段階で頭の中にアラミスの声のイメージが出来てしまっていたので,2周目に入ってアラミスの声を聞いた時にかなり違和感を感じたこと,更に(2)そもそも一本道なノベルゲーである本作で,アラミスの声を聞くために最初から最後までやり直す気が起きないこと,これらの点から言っても,アラミスの声を再生できなくしたことは大失敗ではないかと思いました。個人的には初回プレー時に声有りでプレーできるパッチを作った方が良いのではないかと強く思っています。
 あとは,音楽,とりわけボーカル曲を使うタイミングが悪いこと,これも気になりましたね。特に「砂の城」を使うタイミングがあまりにもいい加減(ボーカル曲が合うシーンかどうかを考えず,取り敢えず砂漠のシーンになったからかけておくか,みたいな感じ)に私には思えました。一曲一曲の楽曲の出来は良いのに,その使い方が良くなくて余り印象に残らなかった点はかなり勿体ないです。
 あと,効果音や音響効果が良くない。とくに,ドア越しから話しかけるシーンが,どう聞いても電話での会話にしか聞こえないようなイフェクトのかけ方はどうかと思いました。また,口笛を吹くシーンで,口笛の効果音が無く,テキストの表示すらない(絵だけ)なのは残念。
 総じて,ビジュアル面での演出は凝っていて良いんだけど,音の面での演出が不徹底かつ不十分に思えた作品でした。やはりビジュアルノベルである以上,話にプレイヤーを引き込むためにももっと音にも拘って欲しいなあ,と思いました。

【絵】A−
 複数人の方が分担されて担当しているようですが,絵柄の統一は図られていたと思います。可愛らしい系の絵柄でかなり良いのではないかと思いますね。ただ,ファウについては絵のブレが激しかった(シーンによっては別人に見えた)のが残念。

【エロ】D+
 薄いです(キッパリ)。各ヒロイン原則1回のみ。テキストも淡泊。エロゲーとしてはちょっと流石にどうかと思いました。各ヒロインのHが1回のみというのは仕方ないとしても,例えばお姉さんの暴行シーンで,暴行後だけでなく暴行の過程もちゃんと描けば,話を破綻させることなくエロも充実させることができたと思うのですが(まあ,こういうシーンはこのメーカーのイメージに合わないのかも知れませんが)。もう少しエロについても努力して頂きたかったです。ただ,着衣Hの観点から言うと,絵は大変良かったです。どのヒロインも良い感じに着崩してのH(×全裸H)なので,エロ絵としては満足しています。
 
【シナリオ】B+
 話の筋・構成自体は大変良いと思います。各章が上手くクロスしながら全体のストーリーが紡がれる点や,話が進むにつれ,たびたび画面上に挟まれる「○○○days」の意味がわかってくる点などは上手いな,と思いました。また,話の結論も,幕引きの仕方が個人的には好きではありませんでしたが,これもまあありかな,と納得できるものでありました。
 けれども,各章の内容については不満が残ります。とりわけ第2章・第3章で顕著ですが,長い割に話に起伏が無く,また,萌えるイベントや笑えるイベントなどが殆ど挟み込まれておらず,プレイヤーの作品への没入度やキャラへの愛着を増す工夫が皆無に等しい点です。このせいで,話全体としては面白いんだけど各章をプレイするのはタルい,そういうややパラドキシカルな状況に陥ってしまっています。さらに,キャラへの愛着をわかせるイベントとかが無いために,ヒロインに萌えられなかったり,各ヒロインの身に降りかかる悲劇にあまり心が動かされなかったりした点も残念なところです(個人的に一番萌えたのがイブラ,という点で終わっている気がします……д`;) メインヒロインぢゃない……)。
 あと,テキストが基本的にどの章でも堅めで,会話体や心情描写としてはやや不自然に感じたところがありました(特に第2章の主人公)ので付言しておきます。
 総合すると,取り敢えず,ストーリー重視の方にとっては(話の終え方に賛否はあると思いますが)楽しめる出来だと思います。しかし反面,本筋以外の日常描写やヒロイン達とのイベント等が不十分なために,萌えゲーとしては△だと思いました。
 なお,おまけシナリオについては,私は「みずいろ」をやっていないのでワケワカランだったため,その内容については言及しません。ただ,旧作が好きな人にとってみると,こういうオマケは嬉しいんだろうなあと思いました。私も好きなソフトのキャラがオマケで登場してくれると嬉しいですし。でも,こういうのも一長一短(初挑戦の人にとっては疎外感を抱きうる)かなあとは思いましたが。

【結論】B
 「ストーリー重視ゲーとして,全体としては良いが部分部分が不十分な作品。あと演出の不徹底さは残念」。総じて,個々の要素はハイレベルかつ充実しているのに,その豊潤な素材を上手く活かし切れていない印象を受けました。決して欠陥等があるわけではないのに,演出等の不徹底さやシナリオの不十分さから,今ひとつな感を抱いてしまいます。大変勿体ない。次回以降はもっと素材を有効に活かすという観点で作品をつくって頂きたいですね。


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