BALDR FORCE メーカー名:戯画 発売日:2002/11/01 メーカーホームページ:http://www.web-giga.com 評価:S(100点) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― |
戯画が総力を結集して世に送り出してきたエロゲーにおけるアクションゲームの金字塔,バルドシリーズ。その最新作である本作の出来は如何に。 【システム】A システムに関しては文句なし。必要十分な機能を完備し,かつ動作も軽快です。特に,フローチャート表示はコンプするために重宝しました。ただ,一部特定環境下でしかウインドウモードに出来ないことがやや難点か。 【ゲームシステム及び内容】 ゲーム内容はアツイですね。かなりはまります。体験版をやっていただければわかると思いますが,格ゲーの色彩がややあります。複雑なコマンド等に腐心する必要がない点が非常によかったです。また,難易度の設定も適切で,自分の実力にあったプレーが出来ます。 【絵】B 絵は「菊池政治」氏の絵が受け入れられるかがすべてでしょう。ちょっと癖のある絵なので,人を選ぶかもしれません(前作と感じが全く違いますし)。ただ,CG自体の質と量は圧巻。大作といって良いと思います。でも,ちょっとあのザーメンの表現はどうかと思いますが……(牛乳かと思ったよ……)。 【音楽・音声】音楽・音声ともA 音楽自体の出来は普通ですが,ゲーム中での使われ方が上手く,大変よかったと思います。また,主題歌の出来も秀逸だと個人的には思いました。特に戦闘シーンで流れた時は鳥肌が立ちました。BGMは作品の演出に資してこそ意味がある,ということを再認識しましたね。あと,音声は主人公以外フルボイス(男性含む)。演技レベルはかなり高い。いやあ,やっぱり男性や脇役にも音声が入っているといいですなぁ。 【エロ】B− エロは数がありますし,純愛・陵辱ともに取りそろえている感があります。ただ,個人的にはそれでもやはり,ややエロが薄いかな,という気がしました。寸止めが多い&最終的に服を脱がしてしまうので全裸Hばっかりなせいかもしれません。バルドシリーズにエロを求めていない,とおっしゃる方も多いですが,やはりエロゲーとしてのエロの薄さは気になりました。 【シナリオ】A 最後にシナリオ。はっきり言って予想外の出来の良さでした。繰り返しプレーすることで1つの世界・事象を様々な視点から俯瞰する,という形式。各ヒロインのエンディングをある意味パラレルワールド的に存在させながらも,それらを1本の線で結ぶことで,作品全体のテーマ,謎を明らかにする,という形を取っています。ですので,ヒロインをクリアするごとに新たな情報が加わり,いつのまにか謎解き感覚でゲームに引き込まれていきます。また,各ヒロインのシナリオも,「ハッピーエンドだからといってすべてが万事解決,丸く収まった」というようなご都合主義的なものではありません。それに,前話できわめて重要な役割を担っていた人物を自覚なしに殺してしまう,など,クリアする順を指定することによって異様なリアリティを出すことに成功しています。ここら辺の残酷さというか厳しさは,バルドシリーズたるゆえんだと私は思いました。 ただ,それは言い換えれば「最後までやらないと面白さが半減・消化不良」「押しつけがましい展開」ともいえます。特に前者は時間の無い人にはつらいかもしれません(私もつらかった……)。ここら辺をどう捉えるかは人によるのではないかと思います。 【結論】S 結論は「演出の冴えるエロゲー最高峰のアクションゲーム」です。ゲーム自体の面白さやシナリオ展開の切れだけではここまで良い作品はできなかったと思います。やはり演出あってこその面白さ,没頭感ではないかと。その点では,このゲームはOPからゲームシステム,作中の展開に至るまで,徹底して「サイバースペース」という世界観と爽快なバトルを,演出によりもり立てていると思います。演出って大事なんだなぁと再認識させる出来でしたね。 ゲームパート・演出表現・シナリオ,これらすべてが高レベルであり,かつバランス良く組み合わさっており,プレーしていて純粋に「面白い」と思える作品です。ハマります。個人的には文句なくSランクの作品。強くお奨めします。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― レビューデータベースに戻る |