大番長-Big Bang Age-
 メーカー名:アリスソフト
 発売日:2003/12/19
 メーカーホームページ:
http://www.alicesoft.co.jp/         評価:A(90点)
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 今冬最大の話題作であり,個人的にももっとも期待していた一作です。

【ゲームシステム及び内容】
 基本的には「大悪司」のゲームシステムを踏襲しています。仲間を増やしながら自分の支配地を広げ,最終的には全国を統一しようという,陣取り型のSLG。ただ侵略・占領を繰り返せばいいというものではなく,各領地の収益率に応じて適正に人員を配置したり,必要に応じて仲間と面会して信頼度を維持したり,ダンジョンに潜って修行をしたり,建物を建てて収益を上げたり……と,かなりのタスクが要求されるところも同じです。ですから,「大悪司」が楽しかった,という方は間違いなく楽しめると思います(かくいう私もその一人でした)。反面,苦手だった人には厳しいかな。

 本作のようにやることが山のようにあるゲームというのは,ややもすると煩雑な操作になりそうなんですが,さまざまなイベント・タスクを盛り込みながらも操作系統はきわめて簡略化・洗練されており,SLGにありがちな数値合わせのような操作(作業)が無いのは流石。作業感無くプレーできたのは大変良かったです。個人的にはこういうゲームは好きだなあ。

 あと,これは私感ですが,若干「大悪司」に比べて難易度が上がっているのではないかと思います。特に,BPが枯渇しがちな点や,細かく攻略期限が区切られており時間との勝負になりがちな点が大きいのかもしれません。決して楽にさせてくれない絶妙なゲームバランスだと思います。そのため,慣れると何とかなりますが,初回プレー時には大変かもしれません。この点,一応付言しておきます。


【システム】B
 システムはアリス謹製のSystem4.0を採用。従来までのSystem3.9は軽快さと安定さには定評があったものの,機能面では正直今一歩な出来でしたが,今回のシステムではかなりの程度改善されています(既読メッセージスキップの装着,マウスへの完全対応など)。また,一度インストールするとディスクレスでプレーできるなど,遊びやすくなっている点は高く評価したい。

 ただ,他の作品でシステム関係が充実の一途をたどっている昨今,やはりまだ若干の使いにくさが残る点は残念。特にセーブ&ロードが限られた場面でしかできないのはマイナスですね。セーブはまだしも,ロードがターン終了後でしかできないというのは×。ターンの途中でロードし直そうと思うと,いったんSystem4.0を再起動し直してからでなければできないというのはかなり不便でした。そもそも「再起動」自体,PC98時代の名残だと思うんですが,こんな仕様は無くなっても構わないから,もっと手軽にセーブやロードが出来るようになって欲しいなあというのが正直な気持ちです。あと,バックログ時に音声をリピートできないのも△。特に本作のようにパートボイス仕様で,1シーン中に音声が再生されるところとされないところの両方が混在していたりするゲームの場合,ついうっかりして音声をクリックで飛ばしてしまうことが多々あるので,バックログでの音声再生機能は欲しかったですね。


【音声・音楽】音楽:S,音声:A
 音楽は,おそらくエロゲー業界ではもっとも有名な音屋である「Shade」氏が担当。で,その出来ですけど,完璧,こうとしかいいようがありません。なにも文句のつけようがない出来映えで,音楽だけでも元が取れたのではないかと思えるほどです。個人的に気に入ったBGMをあげても「Advance ii」「Dash! To Battle ii」「Holly Frame」「Scal Serpent」「Terrible Beat iv」「Big Bang Age」「Take me to the another world」と多数に及びます。楽曲の出来だけでなく,作品とのマッチ具合も最高で,良い感じにゲームを盛り上げてくれるのは◎。また,主題歌「Dash! To Truth」もかなりの出来で,OPムービーとの相性もバッチリ。さらに,製品のオンラインアンケートに回答すると,主題歌のfull ver.がダウンロードできるのも嬉しいサービスでした。音楽とはかくあるべし,という見本のような作品といえるでしょう。◎。

 他方,音声もかなりのレベルを誇ります。男女ともに超実力派の声優陣を用意しており,また,配役も抜群で,キャスティング担当者のセンスがうかがい知れる,そんな出来だったと思います。特に華苑(@北都南さん)や扇奈(@不明。個人的には赤白杏奈さんに聞こえたのですが,私の耳はクソなので……)なんかは最高で,戦闘時の掛け声を聞いているだけでも萌えましたね,ええ(w。エロの演技なんかも最高で,音声自体の出来については文句なしです。

 ただ,唯一残念なのは,やはりパートボイス仕様であることですね。特に,本作は回想シーンに登録されないんだけど出来が良いイベント,これがかなり多かった(それ故,声の無い箇所がかなり多く感じられた)だけに,「これも声つきだったら良かったのになあ……」と思ったことがしばしばありました。やはり日常会話にも音声があるのと無いのとでは没入度や臨場感は大違いな訳で,特にこれだけ音声のレベルが高いと,パートボイス仕様にしてしまったことはかなり悔やまれるところです。個人的に,本作ほどフルボイスの方が良かったなあと思った作品も珍しいです。残念。


【シナリオ】B+
 担当は「イマーム」「HIRO」「はちまん」各氏。で,出来の方ですけど,悪くないと思います。むしろなかなかの出来なんじゃないかな。熱血学園もの・格闘ものを地でいくストーリーで,主人公も嫌みのない熱血野郎なので,うじうじと悩むことなく爽快にプレーできたのは◎。OPムービーをみただけで有る程度話の真相がわかってしまうとか,そういう話の底の浅さはありますけど(こういうのはご愛敬?),これだけ雑多な設定・登場人物をぶち込んで,それでも破綻することなく一つの世界としてまとめ上げてしまうアリスソフトの力量には感服させられるものが有ります。昔からこのメーカーの大作はそうですけど,個人的にはこういう闇鍋・おもちゃ箱みたいな,なんでもありな世界観って大好きなんで,今回も十分に楽しませてもらいました。

 ただ,いつもと担当の方が違うせいかもしれませんが,「鬼畜王ランス」や「大悪司」に比べてアクの強さが無く,妙にあっさりとした出来になってしまったのはやや気になるところではあります。特に上述の2作はかなりどぎついことを平気でやってみせる面があり,それがエロさにもつながるし話の印象深さにも結実したんですが,今作は全体的にあっさり目なので,あまりストーリー自体は印象に残らないんですよね。これがちょっと残念でした。

 でも,反面,キャラクターの魅力については,「大悪司」などよりもかなり向上しているのではないかと思います。特にヒロイン陣はエロの回数も多く,個別のデートイベント等も完備されており,その魅力がよく醸成され,描き出せている点は高く評価したい。個人的には,ヒロイン陣では華苑や扇奈,紗枝,サブヒロイン陣では彩,京子,ウルルカ,絵梨花,智香なんかが好きですねえ。また,ヒロイン陣のうち誰とHするかの選択で,親密度が高くなったヒロインAとは別のヒロインBのところに暫く通い詰めると,Aが,主人公がこなかったことに対して恨み言を言ったり怒ったりするようになるんですが,ここら辺の芸の細かさがさらにキャラの魅力を引き立てていてとても良かったと私は感じました。


【絵】A+
 担当は「むつみまさと」「おにぎりくん」両氏他。相変わらず,「綺麗で可愛い,でもエロい」という素晴らしい出来ですね。また,「大悪司」でもそうでしたが,親密度が高まるとヒロイン陣の立ち絵が照れ顔に変化するんですが,これがまたたまらなく可愛くてグッド。絵に関しては殆ど文句なしです。ただ,微妙に聖城学園の制服がダサめなのと(着衣Hにはかなり映えるんですけど,通常の立ち絵だと正面画のデザインがダサく感じられました。やはり腹部にもう少し別の配色が欲しいところです),華苑の通常の立ち絵に比べて照れ顔ver.の立ち絵及びエロ絵が幼く見える(ロリ化しているように見える)のはちょっと気になったところでは有るのですが。


【エロ】A−
 絵が綺麗でエロい,音声が最高(しかも,エロシーンには一部脇役キャラのHを除いて音声が完備),シチュも豊富(純愛・陵辱とも取りそろえてある)と,エロさを出すには最高な条件を揃えており,かなり抜けます。またヒロイン陣のエロは,同じシチュでも毎回その内容が異なり,回数を重ねていくごとに次第にヒロインが積極的になっていく様が描けていて大変良かったです。ヒロイン陣についてはかなり丁寧にエロが描かれており,個人的には満足。和姦がお好きな方には特にお奨めできますね。

 ただ,(1)差分CGが存在しない点(2)キャラクターによりエロの数・質に偏りがある点(サブヒロイン内において,1回しかHが無いキャラもいれば複数回Hを完備しているキャラもいるなど,ムラが大きい→お気に入りのキャラがエロ少なめだったりするとガッカリ),(3)基本的に1回のHでCG1枚のみ(ヒロイン陣を除く)である点,この3つはマイナスかな。特に彩とのHを期待していた私としては,(2)はきわめて残念でした……。


【結論】A
 「“遊べる”ことに主眼がおかれた,“ゲーム”たり得るゲーム。流石アリスソフトと唸らせる出来」。1週間以上プレーし続けましたが,未だに回収し切れていないイベントが有ります。そんな,ヤリコミ要素抜群な一作です。また,単にゲームとして面白いだけでなく,エロなどもちゃんと完備している点は高く評価されて然るべきだと思います。このソフト一本有れば何日も遊べる,そんな,最近のエロゲーでは珍しい類のゲームです。システム面等で若干不満の残るところもありましたし,また,SLGというのは好き嫌いの分かれるジャンルですので,すべての方が満足するというのは難しいかとは思いますが,もし「遊べる」ゲームが欲しいというので有れば本作をやられると良いのではないかと思いますね。当サイトが自信を持ってお奨めする一作です。

 マイ萌えキャラ→魅力的なキャラが多くて迷いますが,やはり姫乃宮華苑かな? 高飛車でツンツンしたお嬢様が,次第に主人公にデレデレするようになるその過程が最高。声もとても良いですしね。でもなあ……健気でちょっと天然の入ったメインヒロインの京堂扇奈も捨てがたいんだよなあ……。あとは大まおーとかも(w。一つに絞るのが難しいですなあ。


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