デミウルゴスの娘〜瞳の中の巫女姫〜
 メーカー名:catwalk
 発売日:2003/02/28
 メーカーホームページ:
http://catwalk.product.co.jp/       評価:B+(75点)
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 凝りに凝った設定に惹かれて購入しました。無論,絵に惹かれた&着衣Hを期待したというのも大きいのですがw(特に風香やイーリス)。

【システム】A
 Visual Arts謹製のものであり,文句有りません。常時安定・機能充実・動作軽快で,終始快適にプレーできました。セーブ数なども,多すぎず少なすぎずな妥当なラインかと思います。やはりシステムがシッカリしていると,それだけで安心できますね。◎。ただ,唯一,バックログ時に音声が再生できない点のみが不満。まあ,これは今作に限ったことでなく,Visual Arts系列全般に言えることなのですが。

【音楽・音声】音楽・音声ともB+
 音楽に関してはEnergy fieldが担当。「深影」など一風変わった,幻想的な感じの曲が多く,作品の雰囲気に良く合っていたのではないかと思います。個人的には,あまり主題歌は好きな曲調ではありませんでしたが,それでも楽曲全体(主題歌・BGMとも)のレベルは総じて高いのではないかと思いました。
 音声は平均以上のレベルではあったと思います(特に涼森ちさと女史の演技力は◎)。ただ,一部演技力に疑問が残る方がいたのと,全体的にヒロインの声が高め・幼めだったのがマイナス。とくに後者に関しては,はっきり言ってこの作品の絵には合わない(もっと可愛い系の絵に向く)と思いました。

【絵・エロ】絵:A,エロ:C−
 担当は「神奈月昇」氏。個人的にはかなり好きな絵柄です。ロリ過ぎず,かといってアダルト過ぎず,その中間的な絵柄になっている点が良いです。また,ニーソックスやストッキングで,ちゃんと腿への食い込みやソックス・ストッキング上の皺が描かれていた点も◎。ここら辺,手を抜く人が多い(ただ線引いて色塗っておしまい,みたいな人が多い)ので,とても感心しました。………細かすぎる着眼点で恐縮ですが( ̄∀ ̄;)。ただ,ビー玉みたいな目の塗りは賛否が分かれるところかもしれません。
 …………でも。なんでHの時にみんな脱がしちゃうんだ………!! 。・゚・(ノД`)・゚・。モッタイナイヨウ…。期待していた風香の制服Hはない,イーリスも折角シスター服でフェラしているのに,挿入時には全裸で(´・ω・`)ショボーンと,着衣Hスキーには辛すぎる出来。純愛系のため基本的にエロが薄い(絵・テキスト・シチュとも)上に,着衣Hも殆ど無しなので,エロについてはあまり期待できないです。ただ,玉依姫の巫女服Hはとても良かったので,評価的にはD以下とはせず,C−とさせて頂きます。

【シナリオ】B+
 担当は「桜沢大」氏。まず結論から先に言わせて頂ければ,シナリオは「良くも悪くも富士見ファンタジア文庫・角川スニーカー文庫等のようなライトノベル的シナリオ」かと思います。以下でその趣旨等について説明します。
 まず,設定自体はとても良かったと思います。日本神話や認知神経科学,宗教学や心理学の知見などがふんだんに盛り込まれており,凝っているなという印象を受けました。当方にはそれらの領域の専門的知識がないため,作中での設定の真偽のほどは図りかねますが,それでも読んでいて「なるほど」「へえ面白いな」と思わされる出来だったと思います。また,1人のキャラをクリアしても話の全容がつかめず,全キャラを攻略して初めて話の全容がわかる点も良かったですね。
 しかし,折角凝った設定になっているのに,いざそれらをシナリオに盛り込もうという際,話の展開が性急すぎてそれらの設定を生かし切れていない点がマイナス。設定の多さの割にシナリオのボリュームが少なく,詰め込みすぎの感があったり設定を生かし切れていない感があるのはすごく残念です。
 また,そのことに関連して,キャラクターの行動・心理描写やエンディングの描写等も,シナリオの分量面でのタイトさ・展開の性急さのせいで,いまいち十分に描き切れておらず,おざなりな感がしたこと,これらについても大変勿体なく感じました。とりわけ,キャラ同氏の会話がかみ合っていなかったり,キャラに萌える前に突然話が急展開してしまっていつのまにか結ばれている→プレーヤー置いてきぼりになったりする点や,とってつけたようなエンディングになってしまっている点などは大変気になりました。
 このように,ボリュームの制約の中で十分にキャラ・設定・ストーリーが消化しきれず,結果いまいち印象に残らない&駆け足気味な展開になってしまう点が,1冊の文庫本内で話を完結させねばならないライトノベルと類似しているので,上のような結論になったわけです。もっと展開にゆとりとメリハリを持たせてやれば,設定が良いだけに大化けした作品だと思います。大変勿体ない。
 ただ,ライトノベルの利点である「短時間で一通り話が楽しめる」点も本作は有している(1キャラ当たり数時間で終わり,かつそれぞれで展開の違う話が楽しめる)ので,時間のない人にとっては逆にこの展開の性急さがプラスになっているかも知れないことは付言しておきます。話の運びのバランスとプレイ時間の舵取りは難しいですなあ……。

【結論】B+
 「総じて高レベルの作品だが,展開の性急さのせいで折角の設定を生かし切れていない点が惜しい」。今後は,エロの拡充と話にゆとりを持たせてキャラや設定を描ききること,この2点が課題になるかと思いますね。デビュー作でこのレベルの作品が作れれば上出来かとは思いますが,今後は今回のマイナス点を改善し,更なる鍛錬を積むことを期待しています。見所のあるメーカーだけに,個人的には今後も注目していきたいと思います。


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