【シナリオの内容等について】<若干のネタバレあり>

(1) 結末について(特に明日香エンド)
 まずなにより,結末が納得できなかった。個人的には,ああいう結末は大嫌いですね(虫酸が走ります)。
 このゲームの結末,とりわけ明日香エンドは,エロゲーではありませんが,コンシューマの「アークザラッド2」と似ています。つまり,アークとククルが世界のため・みんなのために犠牲になって話が終わったように,「僕達が犠牲になるからみんな(とくに悠)は助かって」という形で話が終わるわけです(攻略キャラによって差異はありますが)。個人的にはこういう展開だけはどうしてもダメです。ご都合主義も良い,我が儘も良い,天上天下唯我独尊的な姿勢でも構わない。でも,こういう「みんなのため」という綺麗な(少なくともそう見える)お題目のために,自己犠牲という名の下で命を絶つ姿勢だけは,個人的には解せません。そして,こういう形でしか話に幕を下ろせないというのは,話を広げすぎて収拾がつかなくなり,しょうがないのでキャラを死なせて話の収拾を図ろうとする,シナリオの編み手側の怠慢・逃げのように感じられてならないのです。
 ココロの欠片を分け与えられる,そしてそれによって死者が蘇るという話の展開自体,ご都合主義の塊なのですから,せめて最後までそのご都合主義を貫いて欲しかったです。最後の結末だけ現実に合わせようとしたばっかりに,こういう自己犠牲的な形でしか話をまとめられなくなったのではないかと思います。私はご都合主義は悪いとは思いません(むしろゲームの中くらいご都合主義で最後happy endになってほしい)。ただ,中途半端なご都合主義は×。やるからには徹頭徹尾一貫してやるべきだと思います。特に,「死」という重いテーマだからこそ,ご都合主義で行くならそれに徹するべきだし,さもなくば一切のご都合主義を排して話を編むべきだと私は考えます。そうじゃないと「死」という重く難解なテーマに取り組んだとしても,ただ興味本位で取り組んだだけ,乃至やってみたけど上手く描けなかったので途中放棄した,そのどちらかでしか捉えられず,結局話が薄っぺらく感じられてしまいますから。
 
(2)キャラの設定他
 基本的にウザイキャラばかりでウンザリしました。キャラクターでいいと思ったのは明日香やその両親くらい(特に明日香さんは良かった゜∀゜)b)で,他のキャラは主人公に対してしつこすぎると思いましたね。特に悠(妹キャラ)のしつこさは並ではなく,病的と言って良いほど。体験版プレー時には上手い演出だと思いましたが,本作でずぅーーーーーっっとあんな感じにしつこくまとわりつかれたので,流石にウンザリとしてしまいました。あれでは好きになろうとしてもなれない,というのが私感ですね。
 そう言えば,妹って,結局義妹なのか実妹なのかがわかりませんでした(妹への興味がわかなかったので,見逃しているだけかも知れませんが)。でもあの設定だとどう見ても実妹だよなあ……良いのかしらん?

(3)主人公について
 ウジウジとしていて自分勝手。他人を思いやっているようで実は思いやっていない,そんな主人公。個人的には嫌いです。前半部無くし物を探しに行った悠への冷たすぎる態度(何時間も迎えに行かずに放置したあげく,帰ってきた悠に当たり散らす思いやりの無さ)や周りの人のことを一切考えずに自分のことだけ考えて行動する身勝手さ,他人を心配するポーズはみせるんだけどあまり心配しているようには見えない言動,そして「わかった!!」といっても実際にはわかっていなくてまたウジウジ悩むなど,個人的には虫酸が走る設定でどうしようもなかったです。この主人公も相当なDQNですなあ。これは思いこみかも知れませんが,どことなく「君望」の主人公と似ているように感じました。×。

(4)話の展開について
 この作品の構成は,基本的に一本道です。しかも,例えばA,B,C3人の攻略可能ヒロインがいたとすると,

    Aとの話→Bとの話→Cとの話→……繰り返し……→攻略していたヒロインとのエンド

 というような形になっています。つまり,1回のプレー中に攻略中のヒロインだけでなく,それ以外のヒロインとの話も展開されてしまうため,1回プレーしただけで話の全容が殆どわかってしまうのです。なので,繰り返しプレーする気力がなかなか起きません。攻略可能ヒロインを分けるなら,A攻略中はAの話のみ,B攻略中はBの話のみといったように,プレイヤーに与える情報を限定して,全てのヒロインを攻略した段階で話の全容がわかるようにした方が良かったのではないかなあと思いました。