木漏れ日の並木道
 メーカー名:F&C(FC01)
 発売日:2003/01/24
 メーカーホームページ:
http://www.fandc.co.jp/       評価:B+(75点)
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 穏やかで柔らかそうな絵と雰囲気に惹かれて購入しました。

【システム】A−
 文句なし。必要十分な機能が揃い、かつ動作も軽く、大変良かったです。マウスだけで全ての処理が行える点も◎。ただ唯一気になったのは文字枠を消す際に2度クリックしなければならないこと。Q-SAVE等と同様に1回で出来るとより良かったのですが。

【音声・音楽】音楽:C,音声:B+
 音楽は平均レベルでしたが、作品に良くマッチしていたと思います。音声は男性も含めフルボイスで高レベル。ただ、主人公の声のみちょっと下手だったかも。

【絵】C
 側面画の顔のバランス(特に目の大きさや形)が悪い。正面画は綺麗なのですが、ちょっと横顔は頂けないと個人的には思いました。一方塗りは淡色系でとても良かったです。

【エロ】C+
 「エロ単体で考えると」エロは薄いと言わざるを得ません。とりたてて特殊なシチュがあるわけでもなく、全裸H中心で、Hシーンの尺も短い。あくまでエロはストーリーの展開上入れている添え物、という感があります。個人的には何故紫苑とのHの時パンストを描かないのかと小一時間。姫乃との着衣Hの時はちゃんと靴下まで描いていて◎だったのに……。それと、紫苑のHのみ絵が崩れていたような……描きにくいのかな?
 ただし、ミソは「エロ単体で考えると」、というところだと思います。(1) ストーリーを逸脱することなく、上手く(複数回の)Hを組み込めている点、(2) キャラが良く立った上でのHが中心である点、(3) Hの回数が意外に多い点、以上3点のせいで、実際プレーすると結構抜けました(自分でも意外でしたが)。特に(1)のように、シナリオの展開上での必然としてHを組み込めていることは高評価。

【シナリオ】A−
 とても丁寧に編まれたシナリオだと思います。お約束の展開・シチュながら、「永遠の愛」「死別と再起」というテーマがしっかりと描かれていたと思います。特に後半部に出てくる未来(亡き妻)とのやりとりはホロリとくるものがありました。個人的にはこういう「愛する者との死別」を扱ったものには弱いんだよなあ。しかも、重いテーマながら、さくら(娘)や住人とのやりとりを間に挿入することで、変に暗くなったり鬱になったりせず話を進められたのはとても良かったです。
 ただし、(1) 主人公の「未来との思い出との決別」とヒロインの「未来と自分を対比することで出てくる苦悩・劣等感」という、この作品のもう一つの基本軸(と個人的には思っている)の描写が不十分で、未来との死別のつらさばかりにウェイトがある、(2) 紫苑ルートでのやりとりにおけるテキストがやや堅い(説明口調)、(3) 主人公が偽善者でキモイ,この3つはやや気になりました。まあ、(2)は紫苑が劇団の脚本家という設定なので、わざとなのかもしれませんが。(1),(3)はちょっと残念でした。でも、総合で見るととても良い出来だと思います。

【結論】B+
 「古き良き時代のF&Cゲーの再来」。最近凋落の著しいF&Cですが、やればできるじゃないか、と思わせる出来だったと思います。昔からのF&Cの持ち味であるアッサリ感を維持しつつ、キャラ萌え・ストーリーの必然としてのH・ホロリとくるシナリオ、これらのエッセンスをよく組み込めていると思います。これであとはHの改善(シチュの拡充、着衣Hの増量、絵・差分不足の補填etc.)が有れば◎なのですが。
 ともかく総合的な完成度はかなり高いです。希代の大作という訳では決してありませんが、AVGとしての一つの模範的な形を提示出来ていると思います。個人的には良作判定。「エロ」ゲーとしての実用性を重視される方にはお奨めできませんが、昔ながらのF&Cの持ち味が好きな人や、ゲームとしてしっかりとした(バグがない、シナリオが堅実、絵が(一部を除き)綺麗、システムが使いやすい、全体的にバランスがよいetc.)ものをプレーしたい方にはお奨めです。


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