メーカー名:light
 発売日:2003/11/14
 メーカーホームページ:
http://www.dark.co.jp/light/   評価:C(50点)
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 血なまぐさそうな設定とエロ絵に惹かれて購入しました。

【システム】A−
 システムは使いやすい。バックログ時の音声読み返し機能あり,セーブ画面での画像・メッセージ登録可能,メッセージスキップの未既読判定あり,キャラ別の音声ON/OFF機能あり等,必要な機能がほぼ全て完備されているのは良かったです。また動作も軽快&終始安定していて,安心してプレー出来ます。◎。

 ただ,(1)画面の切り替わり時にややもたつく点,および(2)右クリックでわざわざ機能画面を呼び出さないとメッセージスキップ等が使えない点,この2つはやや面倒でした(短時間のプレーならまだしも,長時間となると結構ウザく感じます)。ここら辺が改善されれば文句なしだったんですけどね。


【音楽・音声】音楽:A−,音声:C−
 音楽は全般的に暗めで,かなり独特の曲調のものが中心。賛否あると思いますが,個人的にはかなり気に入ってます(サントラが同梱されているのもいいですね)。楽曲も作品の雰囲気に合っていて良かったと思います。ただ,どれも自己主張の強い曲ばかりで,しばしば音声を食ってしまう(音楽ばかりが気になってゲームに集中出来ない)ことがあったのはややマイナスか。BGMの使い方としては若干問題があったかも知れません。

 他方,音声は並〜やや低レベル。上手い人もいるんですけど,なかには演技力の低さやキャラとのミスマッチ具合で「うーん……」と首を捻りたくなる方もいらっしゃいました。それと,全般的に作品の雰囲気に比べて声が高めの方が多く,妙に浮いた感じがしたのは残念。また,複数役を兼ねている方が何人もいらっしゃいましたが,正直ちゃんと演じ分けられていたとは思えませんでした(みんな同じに聞こえました……)。それと,流石に睦月(@歌織)のあの声で妹役をするのは厳しいんじゃないかと……(汗。


【絵】C
 原画担当は「泉まひる」氏。いつも可愛い絵を描かれる方です。ただ,今回は作品の暗い雰囲気と可愛い感じのする氏の絵が噛み合ってなかったような気がします。また,(1)目の塗りがおかしい(単色べた塗りに近くて不気味),(2)首や手足が細すぎてアンバランス(3)立ち絵のバランス・デッサンが全般的におかしい(やせすぎ),(4)靴下の描写が微妙(着衣Hでも描写が無かったり,あっても短すぎたりする。また,シーンによって長くなったり短くなったりするのも△)など,かなり気になりました。個人的には,氏の前作「ドキドキしすたぁ?パラダイス」(light)の方が絵的には良かったし,またそういう明るい作風の方が氏の絵が良く映えるんじゃないかと思いましたね。……雑誌に載ってたサンプルCGは良かったんだけどなあ……(;´д⊂)。

 あと,背景が少ない=いつも同じ公園や路地裏などに行っているような気がするのは残念。同じ背景をみさせられるので,話が変わっても前の話の延長に感じられてしまうんですよね。もう少し背景を充実させて欲しかったという点は強く感じましたので付言しておきます。


【エロ】C
 エロは数自体はそこそこあります。また,ジャンル的には凌辱・純愛両方を取りそろえ,さらに着衣Hや輪姦,(数は少ないですが)フェラやアナルHなども完備しているので,ヌキゲとしてはまあまあの出来ではないかと思いますね。個人的には輪姦シーンで何度も抜かせて貰いました。

 ただ,(1)テキスト描写だけで省略されるHシーンが多い。特に脇役のレイプシーンなどで顕著ですね。また,姫野の強姦のように,本番を省略してしまったHシーンが散見されたのもガッカリ。個人的にはメイン陣のエロシチュよりも脇役のHシーンや省略されたエロシチュの方が良いと感じていたんで,かなり残念でした。脇役とのHにちゃんとCGをつけていたら,ヌキゲとして実用に耐える出来になったと思うんですけどねえ。(2)主人公が早漏気味。挿入するまでの前書きが長いのに,挿入後の本番は短く,かなりアンバランスに感じました。もっと本番のHをシッカリと描いて欲しかったなあ。(3)着衣Hで,上半身に比べて下半身(靴下や靴など)の描写がおざなり。詳細は既述。この3点は不満でした。これらのせいで,ヌキゲとして微妙な出来になってしまったのは大変残念ですね。


【シナリオ】D−
 担当は「はっと」「渡部 真也」両氏。一抹の不安があったものの,設定が好みで購入しました。しかし……嫌な予感って当たるもんなんですねえ……。

 (1)テキスト面   まずテキストですが,これは酷い……。難しい表現・言い回しやどうでも良い蘊蓄のオンパレード。その割に日本語は稚拙だし,また笑えたり感銘を受けたりする要素が皆無で,ただただ駄文を読む作業を繰り返す羽目に。主な特徴(というか欠点)を挙げると,<1>説明のしすぎでくどい。1から10まで説明し尽くそうとするテキストなんで,やたらと長たらしい(画面一杯に説明が羅列されます。しかもそれが何面も続くのがザラ)。それでいて実はたいしたことをいっていないのは何だかなあと思います。正直,読んでいてウンザリでした。<2>会話の台詞が長すぎる。1回の発話で10行以上にも渉る台詞をさも当然かのように登場人物に喋らせるゲームは初めて。しかもその大半が説明的な文章で,自然な会話の文章になっていません。その為,ト書きと台詞の区別が付いていないことがしばしば。取り敢えず,やっていて「こんな会話を平然とする奴らは頭がおかしい」というのが私感。<3>句読点をちゃんと振っていない。キャラが興奮するとその台詞から句読点がなくなるっていうのはどうなんですかねえ? 意図的に振ってないところもありましたが,日常会話とかでも平気で句読点を振ってない箇所が散見されたんで,多分ライターの天然かしらん。<4>精神病のような文字の羅列。赤い背景の画面一杯に「死ね死ね死ね……」などと文字が出続けるのが典型。これは狙ってやっているところが多かったんで欠点としてあげるのはどうかと思いますが,でもあまりに多用しすぎていて,読んでいるプレイヤーとしては苦痛でした。なんかやってて頭が悪くなる気がしましたね。

 いろいろと述べましたが,どれほど酷いかは具体的に例をみて頂くのが一番でしょう。

    「『足が速い』ということが一目でわかる判断基準がハッキリしているからだ」

 これを読んで頭を抱えなかった人は買っても大丈夫だと思います。もし「ダメだこりゃあ……」と思ったなら回避が賢明ですね。

 (2)ストーリー面   で,次にストーリー面ですが,これもあまり面白くない。というのも,<1>各章ごとのつながりがいまいちで,話に統一感がない。6章+αの構成なんですが,どの章もバラバラ(一応話は繋がっているんですが,シナリオ全体を通して訴えかけてくるものがない)で,面白くもない6つ(+α)の話をただ読んでるだけな感じを受ける。<2>キャラの思考回路が理解不能。プレイヤーに提示された動機・根拠に対する行動自体は理に適っているんですが,その前提がおかしい。動機や心理,性格等の設定がいい加減かつ一貫性が無くて,各キャラの行動に納得出来る点が少ないのはマイナス。<3>話の終わらせ方がいい加減で,尻切れトンボな感じを受ける。話を終わらせるためにムリヤリ結論を持ってきた感が強く,消化不良感が大きい。さらにエンディング近辺の展開があまりに強引&説明不足すぎて,正直付いていけませんでした。

 シナリオ全般についてですが,ここまでつまらなくて読むのが苦痛なシナリオは久しぶりです。冗談抜きで,やってる最中にうたた寝をしてしまいました。設定は良いのに,テキストの拙さと話の構成の悪さで台無しにしている感が強いです。上手く書けばもっと面白い話になったと思うのになあ……残念。


【結論】C
 「ハッキリ言ってつまらないしかったるい。エロで辛うじて救われたという感が強い作品」。久方ぶりに踏んじまったなあというのが正直なところ。折角設定とかが良いのに,シナリオの拙さなどでぶちこわしてしまっています。電波でまくりなテキストと全く面白みのないストーリーを,作業しているかのように次から次へと読むこと,この過程を楽しめるという“猛者”でなければ回避が賢明かと思いますね。エロとかは悪くはなかったんでこの評価ですが,流石にこれはお薦め出来ません。やはりこのライターの時はよく考えて買った方が良いなあ……。


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