MARIONETTE−糸使い−
 メーカー名:Carrie're
 発売日:2003/03/28
 メーカーホームページ:
http://www.carriere.jp/         評価:B−(60点)
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 いかにも純愛系って感じの絵で陵辱をやることと,原作のweb小説が意外と面白かったこと,この2点に惹かれて購入しました。体験版プレー時,システム系統に一抹の不安を憶えたのですが,はたして……。

【システム】D−
 はっきりいって酷いです。半脱ぎor全裸の選択が出来ること,音声のON/OFFを各キャラ毎に詳細に設定できることなどは良いのですが,メッセージスキップにおいて(1)スピードが遅すぎることや(2)既読/未読の区別をしないことはノベル系ゲームとして最悪。特に本作は各キャラのエンディングを除き終始共通ルートなので,(1)の不備による繰り返しプレー時の不快感・プレイアビリティの喪失度は極めて大きいです。
 また,長時間プレーをすると,たまに強制終了してしまう不具合が生じました(ただし,この場合でもセーブは何故か可能なので,一端セーブしてから終了させれば大きな支障はないのですが,そのことがわかるまで幾度か繰り返しプレーするハメになりました)。それと,一部表示されている文章と音声が一致しない場合も有りました。
 あと,やはり注意すべきなのは要求スペックの高さですね。購入を検討する際には体験版での動作確認が必須だと思います。特にVRAM16MB以上という条件に引っかかる方が多いようです。ただ,その場合も

   画面モードを32bit(True Color)から16bit(High Color)に切り替えて再起動
   →「基準を満たしていません」にOKクリック
   →「そのまま続行しますか」でいいえにクリック
   →OKボタンをクリック

という手順を踏むと起動する場合があります。一度お試しあれ。
 取り敢えず,殆ど紙芝居に近いこのゲーム内容で,ここまで高スペックを要求する理由は全くわかりませんでした。

【音楽・音声】音声:A,音楽:B+
 音声は実力派声優陣を集めているだけ有って,とても上手いです。抜きにも大きく貢献していたと思います(個人的には主人公が緑○氏だったのには驚きましたw)。特に,絶望感に浸った茜と狂気に彩られた葵の演技は良かったのではないかと。
 一方,音楽も健闘。作品に良くあった,暗めのものが中心です。特に主題歌「BLUE BIRD」が格好良いですね。

【絵】A−
 担当は「ここのか」氏。まさしく「純愛系!」って感じの絵を描かれる方ですね。(1)ちょっと線が荒い,(2)描写角度によっては顔が平面化してしまう,(3)塗りがちょっと悪い(まあ,これは原画担当のせいではないでしょうが)など,気になるところも有るのですが,とても魅力的な絵を描かれると思います。この絵で陵辱ゲーだとハァハァしてしまいますね。ってか,茜たん(*´Д`)ハァハァ。前作の絵を拝見した限りでも,この人の強気系赤毛少女絵ってイイなあ。ただ,幼児化した葵の絵,あれは流石に不味いのでは……(汗

【シナリオ】B
 担当は「t-kun」氏。氏のweb小説が原作となってます。シナリオ的には,話が薄っぺらになりがちな鬼畜系ゲームにもかかわらず,結構面白いです。とってつけたようなシナリオではなく,ちゃんと話を描こうとしている点は○。
 ただ,原作がweb小説という形式であったためか,台詞中心の一般的なAVGだとクドく感じてしまう点が気になりました。特に,心理描写等において,全てを説明してしまうために却って読みづらくなってしまっている箇所が散見されましたね。例えば,ある事象Aには説明すべき点が5点あるという場合に,その5点を全て説明しようとしてしまうのです。そのような形は,ト書きが重要な意味を持つノベル形式では有効だと思うのですが,今作(そして一般的なAVG)のように会話主体のゲームの場合には,むしろ既知内容やプレーヤーが容易に想像できることなどに関しては,説明を省略した方がより自然で可読性の確保されたシナリオになったのではないでしょうか。会話のやりとりとか心情の変化とかを描こうとしているのに,書き方がくどすぎ&説明口調で,説明文を読んでいるように感じてしまうことが多々ありました。
 シナリオ自体は良いと思うのですが,テキストの言い回しとか会話・心理描写の具合に多少不満が残る出来だったと思いました。ここら辺は今後修練を積んでいって頂きたい所ですね。

【エロ】B
 エロテキスト自体は平均レベルなんですけど,ネチネチと徹底的に主人公が言葉などでヒロインを嬲ってくれるので,かなり抜けます。また,処女でアナルHとか幼児化Hなど,かなり特殊な属性のHが展開されるので,その手の趣向のある方には◎かと。
 ただ,意外とどのシチュエーションも展開が似通っている(ヒロインの要求を聞いてやらない→青ざめさせる→お願い口調で言い直させる→嬲る)のと,このゲームの大半が共通ルートで同じHを幾度も見させられることから,何度かプレーしていると飽きてしまいます。一体何回「○○は今までにないほど顔を青ざめさせた」とか「お願いする時はどういう言い方をしたらいいんだ?」みたいな台詞を聞けば良いんだろう……というのが本音ですね。
 あと,Hが特殊属性に偏りすぎて,一般的なHが極めて少ないのも不満。1・2回アヌスHが有るのは良いんですけど,流石に茜の殆どがアヌスHだと飽きちゃいます。個人的にはノーマルHの中にたまに特殊属性Hをまぶして有る方が,メリハリがきいて良いのになあと思いました。ここら辺は意見の分かれるところかも知れませんが。

【結論】B−
 絵,シナリオ,音楽,音声など,各要素の出来は良いんですけど,最後ゲームとしてまとめる段階でしくじってしまった作品だと思います。フラグ立て以外に意味のない選択肢群(どれを選んでも話は変わらず,どのルートに行くかのフラグ判定にしか使われない)はプレーヤーのやる気を殺ぎますし,説明書きを多用した今回のようなシナリオ(およびテキスト)を一般的な会話主体のAVG形式で演出したために,可読性を損ってしまった(ノベル形式の方が向いている)ことなども,その証左かと。原作のあるもののゲーム化なら,どういうゲーム形式がその原作を上手くいかせるのか,そこら辺をよく考えるべきだったのではないかと思います。また,特殊属性に拘る余り,展開が似通ったものになってしまった点も残念。ともかく惜しい作品。もっとゲームとしてのまとまりを持たせていればA評価を出せる出来だったのですが。次回作に期待ですね。

 あ,それ以前に,システム&意味のない高スペック要求はどうにしかしてくださいね( ̄∀ ̄;)


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