勝・あしたの雪之丞2 メーカー名:エルフ 発売日:2002/09/27 メーカーホームページ:http://www.elf-game.co.jp/ 評価:A+(95点) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― |
正直前作は,キャラが立ってはいるものの特別印象が強いものでもない平凡な出来であったため,すっかり忘れていたのですが,今回続編をいつの間にか購入していました。何故だろう……?(w 【システム】A− まずシステムですが,必要十分な機能が搭載されており,動作も軽いので非常に快適でした。前作で不満に思ったところなども改善されており,個人的には好感触。ただ,機能割付が3カ所(右クリック・画面上部・台詞枠)に分散されているので,最初は少しとまどうかも。 【ゲームシステム及び内容】 難易度についてですが,AVGの中ではかなり高めだと思います。フラグの判定がかなりシビアです。私自身,どうしようもなくて攻略サイトを頼った部分もあります。 また,ボリュームについてはかなり多いです。共通の既読部分を飛ばしても各キャラで何時間もかかります。ですが,後述するようにシナリオ&テキストが良くできているので飽きたりはしませんでした。 【絵】A 絵は……いうまでも無いと思います。絵柄・CGの出来とも◎だと個人的には思いました。正直前作は立ち絵を中心に絵の荒さや塗りの不自然さが散見されたのですが,今作は前作に比べてキャラデザが無難なものになっているせいか,自然かつ美麗な出来になっているのでは無いでしょうか(そうはいっても,まだせりなの立ち絵などは荒さが見受けられますが)。 【音楽・音声】音楽:B+,音声:A+ 音楽はそつなくこなしているというのが印象で,特筆すべき点はないと思いますが,主題歌「Hi・Ra・Ri」は何度も聞いていると結構頭にこびりついてくるような,なかなか良い出来だと感じました。 音声は文句なし。ここら辺は流石はエルフだと感心させられ程よかったです。男性キャラすべて(除:勝・雪之丞)に声が入っている点も○。 【シナリオ】A+ ここまで上手くまとまっているシナリオは珍しい,というのが感想。シナリオの本筋自体は青臭いほどの青春もので,俗に「王道」といわれるような,使い古された設定ですが,鬱展開などで奇をてらったりせずに,ストレートに青春群像を描くことで,爽快な読後感をプレイヤーに与えることに成功していると感じました。また,シナリオの構成が巧みで,緩急を使い分けた展開・前作との完璧な整合性・キャラクターの役割分担の巧さと対照性により,とても整然とした,読み応えがあるシナリオになっていると私は思います。テキスト自体も,主人公が軽めの設定なせいかとても洒脱で,読んでいて面白かったです。なので,ボリュームが多くて時間がかかる作品ですが,飽きが来たり嫌気がさしたりはしませんでした。 「あしたの雪之丞」はボリュームが少なめで,どうしても描写が中途半端になりがちだったんですが,本作ではかなりのボリュームを確保しており,そのおかげで,出会った馴れ初めから親しくなる過程,そしてその後に待ちかまえる修羅場とそれの克服が非常に丁寧に描かれているのが非常に良かったです。更に,「1」の世界観を上手く内包しそれを活かした上で更に大きな話を紡いでいる点なども大きいですね。 ただ,前作をやっているのとやっていないのとでは,作品への感情移入度に差が出てしまうと思います。まあ,この辺は続編の運命なのでしょうが。 あと,非常に個人的なことですが,1の委員長の扱いが悪いのは(;´д⊂)でした(私の中では「1のヒロイン=委員長」だったので……歪んでるかもしれませんが)。 【エロ】D シナリオのボリュームに比べてエロは薄いです。エロシーン自体は結構丁寧に描かれているのですが,回数自体が少ないので,この点は如何ともし難いですね。 【結論】A+ 結論としては「シナリオの丁寧な青春もの・エロ付き」といったところでしょうか。最近,エロに特化していたせいか,シナリオがおざなりになってオマケ化している作品や,ただシナリオが長いだけの作品ばかりをやってきたので,今作品は目が覚める思いがしました。学園ものの「王道」っていうのはこういう作品のことなんだなぁ,と個人的には感心した次第です。エロゲーというよりはギャルゲーかもしれませんが,とても良くできた作品だと思います。青春ものが好きな人にはお勧め。私の中ではエルフの2002年ベストであり,2002年の学園もの作品の中のベストでもある,そう感じています。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― レビューデータベースに戻る |