Rendezvous<ランデブー> メーカー名:Melody 発売日:2000/03/03 メーカーホームページ:http://www.pandahouse.net/ 評価:B+(75点) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― |
パッケ絵から滲み出てくるアダルトな雰囲気,これに惹かれて購入しました。 【システム】C 基本的には動作は軽快・安定。機能面でもセーブ&ロード等,必要な機能は概ねそろっています。ただ,昔のソフトだけに,正直操作面では古くさくて使いにくいですね。特に(1)バックログがないこと,(2)タイトル画面からゲームスタートまでに手間が掛かる(何回もクリックしないとダメですし,また同じプロローグを毎回見る必要がある)こと,(3)個別シナリオの回想ができない(オールクリアするとシナリオリセットをしない限り最終話「カレン」以外プレーできない)ことなどは不便でした。(1)なんかは話を楽しむ本作においては致命傷でしょう。なお,(3)についてはOHPにて追加パッチが頒布されているので,それをあてれば対処可能です。 【音楽・音声】音楽:A+,音声はなし 音声はありません。まあ,昔のソフトですからしょうがないかな。ただ,やっぱ本作ではあった方が良かったなあとは思いました。 他方,音楽は珠玉の出来。担当は音楽屋として名高い「PANDA(ぱんだ)」氏ですが,今回もかなり聞き応えがあります。ジャズ系の楽曲が中心で,喫茶店とかで流れていても何の違和感も感じないような,そんなムーディーでアダルトなものに仕上がっています。文句なしの出来でしょう。特に個人的には「Rendez-vous(aperitif)」や「Rose」,「Rouge」なんかは好きだなあ(ちなみに,3番目の曲は「D.U.O.」でボーカル曲「Be with you」としてリアレンジされています。こちらも必聴の出来。OHPでダウンロードできますから,気になる方は一度聞いてみることをお薦めします)。ゲームへの嵌り具合も完璧ですし,正直,格安で買った私としては音楽だけでも元はとれたと感じています。◎。 【絵・エロ】絵・エロともA キャラデザの担当は「JIMMY」氏。もう,この人の絵が堪らなく良いんですよ,マジで。萌え絵とは対極にあるアダルトな絵で,昨今のエロゲー業界に蔓延る紋切り型の絵(顔の大部分を占めるどでかい目,変化の乏しい表情,どっかで見たような絵柄etc.)とは一線を画すところがあります。特に美佳や桂の絵はもろストライク。こういう大人っぽい絵柄って何故か最近のエロゲー業界では殆ど無いですから,却って新鮮に感じました。「アダルトゲーム」である以上,こういう絵がもっと流行ってもいいと思うんですけどねえ……。 そして,この美しい絵が非常に効果的に,かつ贅沢にエロシーンで使われているのには感心しました。個別シナリオの大半にHシーンを用意し,しかも1回のHに数枚ものCGを惜しげもなく使用しているのは非常によい。その上,それ以外に効果的に差分絵を混ぜてくるのも上手いところで,例えばフェラをしたあと口元から精液がこぼれ落ちてくる様子とか,本番後に膣内から垂れてくる精液の描写とかがかなり絶妙に描かれているので,エロさがひときわ映えてきます。さらに,終始アダルトな作風が貫かれている中で,その雰囲気・シナリオに見合った“大人のシチュ”が満載だったのも嬉しいところ。中にはギャグっぽいものもありますけど,基本的には“行きずりの恋”とか“すれ違い”とか“逃避行”みたいなちょっとアンニュイな雰囲気を漂わせたHが中心で,かなり抜けますね(別に特殊なシチュとか卑語とかは無いですし,テキストも格別優れているものではないんですが,雰囲気で抜けるんですよね)。なお,着衣Hも当然ありますのでご安心を(基本的に私服<ボディコン風,スーツ,バーテンetc.>ですが,こっそりとチャイナ服Hが入っていることは付言しておきますw)。 ただ,唯一の欠点は絵の塗りかな。光を当てすぎたせいで,肌の色とかが不自然に見えたり,衣服が原色ばりばりに見えたりしたのは残念。 【シナリオ】B 担当は「はむすたー俺様」氏。結論から言うと……惜しい。 内容は短編ストーリーのオムニバスで,「BAR Rendevzous」を共通の舞台として,登場人物達が各シナリオ毎にその役割を変えて寸劇を演じるというもの。男と女のすれ違いを描くときもあれば,ハッカーとOLが会社のネットワークに侵入する話を描くときもある。また,ジゴロになってコマした女達に詰問されるときもあれば,宇宙人に誘惑されたり,連続殺人犯になってバーの女達を凌辱するときもあるなど,ともかくなんでもあり。シリアス展開に比重をかけつつも,ギャグシナリオなども適度にまぶしてくるのはとてもよかったです。個人的には,心に傷を抱えた男女のすれ違いを描く「#1 ホワイトリリー」やハッカーとなって手に汗握る攻防を繰り広げる「#5 アップトゥデイト」などが気に入っています。各個別シナリオ毎にバラエティ豊かな展開を見せるのは◎。 ただ,問題はあまりに個々のシナリオが短いこと。長くても20分,短い話だと10分程度で終わってしまうのは流石にどうかと思います。しかもこのように短い時間内に話を詰め込んでしまったので,起承転結の「転」に乏しい展開となってしまっており,なんの余韻も残らなくなってしまっているのが勿体ない。典型が「#6 キャロル」で,「最初のステージからずっと見ていた」と書いて終わらせるのではなく,もう少し丁寧に美佳のステージを毎回見ていることにつき描写すれば,もっと感情移入できて印象にも残ったんじゃないかなあ。特にこの話は好きな設定だっただけに,もうちょっと力を入れて書いて欲しかったというのが正直なところです。 やはりゲームには「ボリューム」も重要だと思います。その点で言うと,本作はやや食い足りないところがある(分量面・結末の持っていき方のどちらも)のが残念なところです。ホント,雰囲気は凄く良いんだけどなあ……。 【結論】B+ 「終始アダルトな雰囲気を漂わせる,本当の意味での“アダルトゲーム”。シナリオや絵そのものではなく,作品自身の持つ雰囲気を楽しむ作品」。ムーディーな音楽と艶っぽい絵を味わいながら,本作の醸し出すアダルトな雰囲気を味わうためのゲームです。ですから,萌え重視・シナリオ重視といった手合いには間違いなく向きませんが,昨今の似たり寄ったりなエロゲーに食傷気味な方や,本当の意味での“アダルトゲーム”をやってみたい方にはお薦めできます。これでもう少しボリュームがあれば文句なしだったんですがねえ……。 お気に入りのキャラ→露橋美佳。お姉さん然としたところが堪らなく良いですなあ。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― レビューデータベースに戻る |