Revenir
 メーカー名:トロピカルソフト
 発売日:2002/10/25
 メーカーホームページ:
http://www.tropicalsoft.jp/   評価:B(70点)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 前作「ハーフヴァンパイア・サキさん」(「くるみ」(戯画PBの前身)ブランドから発売)の出来が良かったので購入。絵(特に立ち絵)のヘタレ具合に不安を感じてはいたのですが……。

【システム】D
 まずシステムですが,これは使いにくい……。右クリック非対応,セーブ&ロードの反応速度が遅い,独特な機能配置etc. 正直,前作の「ハーフバンパイア・サキさん」よりも退化してしまったような感があります。

【音楽・音声】音楽:B+,音声:C−
 音楽は穏やかな,耳あたりのよい楽曲が中心。不思議な作品世界にマッチしていて個人的には好感触。一方,主題歌はあまり好きではないですが,作品にはあっていると思います。
 音声は普通〜やや下手レベルかと思います。上手い人もいるのですが,一部,悲鳴や高笑いが演技力不足からかすれてしまっている人がいたのが気になりました。

【絵】C
 担当は「すなはらあくる」氏。絵は,1枚絵は綺麗。着彩レベルも前作より向上していると思います。特にイリュの正体を現した後のグラフィックはよかったと個人的には思いました。ただ,絵柄が独特なので人を選ぶのと,一部の絵でデッサンの乱れが見られたこと,そしてなにより立ち絵の酷さが難点かと思います。

【エロ】C
 エッチは普通レベルですが,純愛系にしては濃いめだと思います。キャラが立っているので,思ったよりも扇情的で抜けました(特に知世)。

【シナリオ】A
 そして特筆すべきはシナリオです。「三好ひろゆき」氏担当のシナリオは,1キャラ1〜2時間と短いプレー時間ながら,馴れ初めから事件,葛藤,解決と,すべての要素がバランスよく盛り込まれていた点,伏線をしっかりと生かせている点,各種設定を上手く盛り込んだ点が大変よかったと思います。確かに設定を詰め込みすぎて展開が急すぎる感はありますが,個人的にはむしろ長い時間だらだらと文章を読まされるよりも,短くテンポよく進む方が好きなので好感触でした。小説にたとえるなら,どちらかというと「1つの世界を巡る超大作」というよりも,「閉鎖された空間の中で繰り広げられるやりとりを描いた,複数の短編小説のオムニバス」といえると思います。結構斬新な設定かもしれません。
 ただ,テキストの方は,自己の心情までも台詞中で吐露するスタイルを取っているので,そこを少しウザく感じる人がいるかもしれません(個人的には気になりませんでしたが)。

世界の果てに還るまで  私の名を呼んで欲しいだけ

このフレーズの意味の大きさがゲームをプレーするとわかる,そんなシナリオでした。◎。

【結論】B
 結論としては「短い時間でシナリオを楽しむゲーム」です。一程度以上の水準を保ったストーリーを,短編小説を読む感覚で楽しむことが出来ます。忙しくて時間が余りとれない人にお勧め。個人的にはかなり出来が良い作品ではないかと思いました。今後はシナリオ以外の部分についても修練を積んでいって欲しいですね。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

レビューデータベースに戻る