しまいま。
 メーカー名:アリスソフト
 発売日:2004/12/17
 メーカーホームページ:
http://www.alicesoft.co.jp/         評価:A−(85点)
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 「アリスの館7」所収の一作。むつみまさと氏の描く可愛らしい絵とベタベタの純愛ものシナリオに期待していました。


【システム】A
 システムはアリス謹製のSystem 4.0 ver.1.23を採用。相変わらず動作の安定性と軽快さは抜群ですが,以前までのSystem 3.9に比べると機能面でもかなり充実し使いやすくなっていたのが特徴的です。既読スキップ(未読スキップはCtrlキーで可)・バックログ(音声再生機能付き)・クイックセーブ&ロード・オートモード等,プレーする際に必要不可欠の機能がやっと完備されるようになりました。また,機能割付の面でもメッセージウインドウ上に必要な機能呼び出しボタンが集約されているので,プレーしやすかったです。アリス独自の画面保存機能等も健在ですし,文句をつけるべき点が殆ど見あたりませんでした。模範的な出来と言えるでしょう。◎。


【音声・音楽】音楽:B,音声:A−
 音楽は無難な出来です。アリスにしては珍しく,インパクトや特徴のない,ごくごくオーソドックスな楽曲ばかりですが,作品の雰囲気にはぴったりだったと思います。良くも悪くもBGM然とした楽曲(楽曲自体の自己主張は少なめで,作品を盛り上げることに終始しているものが中心)ですね。ただ,そんな中でもEDの曲(「never end, ever love」)は「おっ,結構良いな」と思わされる出来だったと思いますよ。

 あと,今回はアリスソフトにしては珍しく音声があります。そして,アリスが音声をつけるときの常ですが,レベルはかなり高いです。声質,演技力,キャラとのマッチ具合とも文句なしの出来ですね。ギャグにエロにシリアスにとバラエティ豊かな作品ですが,ちゃんとそれぞれの場面にあった演技をされていて個人的には好感触でした。ただ,唯一残念なのはパートボイスなことかな。場面によって声があったり無かったりするとやはりちぐはぐな感じを受けますし,時として興ざめになることすらありました。声の入ってなかった場面でも「ここにも音声が欲しい!」と思うような良いシーンが多々あっただけに,やはりフルボイスだったら良かったのになあ,というのが正直なところです。勿体ない。


【絵】A−
 担当は「むつみまさと」氏。やはり上手いですねえ,この方は。一時期異様なまでに絵がロリ化して「えー」と思うこともあったんですが,今回は良い按配で可愛らしさと大人っぽさが同居している,そんな感じの絵になっていたと思います。制服等のデザインも良く,通常絵・エロ絵とも個人的には満足しています。あと,特筆すべきはフェイスウインドウの絵の可愛らしさ。本作は立ち絵は基本的に変化せず,代わりにフェイスウィンドウを用いて表情の変化を表現しているんですが,それらのフェイスウィンドウの絵が可愛らしく,かつコロコロと表情豊かに顔色を変えてくれるので,見ていて飽きません。この点も非常に良かったと思いますね。

 ただ,敢えて気になった点を挙げるとすると,(1)立ち絵での手足が細すぎる感じがした点と,(2)塗り方がやや雑で精彩を欠く印象を受けた点,この2つくらいかな。全体的には満足していますが,若干気になった点もありましたので,少し付言しておきました。


【エロ】B+
 健闘しています。作中を通じてまんべんなく(最初から最後までバランス良く)エロが配置されていますし,数的にも充実。また,基本的に着衣Hが中心で,制服(原則ニーソ)・私服・ウェイトレス等でのHを完備しています。さらに,シチュ的にもノーマルなもの以外にアナルやふたなり化,手コキ,足コキ,フェラ等を用意するなど,全体としてかなり頑張っている印象を受けました。アリスのゲームでいつも問題にしていた差分絵の不存在に関しても今回は解消されています(破瓜の際の血の表現や射精後の精液,アヌスとヴァギナの使い分け等,しっかりと差分が用意されている)し,そつが無く作られていた感を受けます。制服HでCGの使い回しが多かった点が残念ではありましたが,個人的にはかなり満足できる出来だったのではないかなあ,と思っています。


【シナリオ】A−
 担当は「はちまん」氏。結論から言えば「純愛ものシナリオの基本に忠実に,かつ手堅くメリハリをつけて話をまとめていた点は高く評価したい。特にキャラクターの造形がしっかりしている点や役割分担が明確な点は感心した。ただ,やや地の文のテキストが堅かった点はマイナスか」,といったところだと思います。

 話の内容としてはきわめてオーソドックスな純愛ものです。静流・紗奈姉妹との偶然の出会いからなし崩し的なH,そしてその後にお互いを意識し始め,紆余曲折を経て最後は本当の恋人として結ばれる,というような展開を基本軸に据え,ギャグ・シリアス・ラブコメを適度に織り交ぜながら,バランス良くメリハリをつけて話を展開している点が特徴。無駄にだらだら話を書き連ねておらず,終始テンポ良く話が進んでいくところに個人的には好感を憶えました。また,キャラクターの造形もしっかりしていて,かつその役割分担も明確(対照的な神無姉妹の性格設定とそれを反映させた行動原理,それぞれのルートでのもう一方の立ち回り方,至る場面で緩衝剤としての役割を果たす絢音の存在など,キャラクターの使い方が的確)なので,読んでいて飽きません(特に静流なんて最高! 可愛すぎです。それにのぞみと七夜の漫才などもなかなか面白かったと思いますしね)。全体として無駄なく上手にまとめられている,そんな印象を持たされるようなお話だったように感じます。◎。

 ただ,このようにシナリオ自体の出来は堅実で,なかなかの出来栄えとなっている反面,テキスト面,特に地の文のテキストにやや不自然さを感じた点は気になりました。心の中の複雑な感情や考えを表現しようとしてついつい難しい言葉や不自然な言い回しを使ってしまい,結果,読んでいて違和感を感じざるを得ないようなテキストになってしまった点は残念。ここら辺はもう少し修練が望まれるところです。


【結論】A−
 「小粒ながらもすべての面で手堅くまとめ上げられた純愛系ゲームの良作。純愛ものの基本に忠実に,あくまでオーソドックスな路線を徹底して追求した点が功を奏したように思われる」。アリスソフトらしからぬ,そんな作品だと思います。癖の強い従来のアリスのシナリオとは違い,どこまでも基本に忠実に,恋愛ものの王道をひた走ったかのようなお話となっています。このことをどう評価するかは人によって様々だと思いますが,少なくとも本作に限っては正解だったんじゃないかなあ。不可解な鬱展開等は殆どありませんから,よけいなことをせずにただひたすら魅力的なキャラクターとの純愛を楽しみたい,という人にはぴったりのゲームでしょう。個人的には,これでフルボイス+αにさえしてくれれば,通常の価格帯で発売しても問題ない位出来は良いんじゃないかな,と思っています。

 ……てか,静流がいるだけで私としてはもう大満足ですよ,マジで(w。

 マイ萌えキャラ→当然神無静流に決まっています。クールでいたずら好きな彼女が主人公にぞっこんになってベタベタ甘えてくる様子は最高! それに,他のヒロインと親しげに話す主人公を見て焼き餅を焼きまくる様子なんかもたまりません。マジデカワイスギデスヨ……(*´Д`)ハァハァ。もう彼女のためだけに「アリスの館7」を買ったと思ってもいい,それくらい良いキャラでした。


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