SHUFFLE! メーカー名:Navel 発売日:2004/01/30 メーカーホームページ:http://www.project-navel.com/ 評価:B(70点) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― |
先行して某誌に掲載されていたコミックが結構楽しかったので,気になって購入してみました。難しいことを考えず,ともかく萌えて楽しめれば良いなあと思っていたんですが,果たしてその出来は如何に。 【システム】A 機能面・動作面ともほぼ完璧。使いにくさや面倒くささ,不快感といったものは一切感じませんでした。フルインスト時にディスクレスプレーが可能ですし,音声再生機能のついたバックログや音量の各種調整機能(キャラ毎の音声のON/OFF機能もあり),スキップ機能の詳細設定(選択肢後のスキップ継続の有無や未既読判定の如何を別個に設定可能)なども完備。キーの配置も最適(画面右手上部にまとまっており,マウスのみで全て操作可能)でしたし,動作も軽快・安定していたので終始スムーズにプレイすることが出来ました。また,演出面でも凝っていて,画面切替や文字表示等でコミカルな感じが良く出せていたのは感心。総じて模範的なシステムだと思います。◎。 ただ,敢えて不満な点を挙げるとすれば,初回版の仕様がCD-ROM3枚組でインストが面倒だったということですかね。1枚当たりの所要時間が結構かかるので,差し替えるのが意外と面倒(ずっと待っていないとダメなので)。昔はF&C系を初めとしてCD-ROM複数枚の仕様は当たり前でしたけど,最近はDVD1枚で全てOKというゲームが増えたので,どうも面倒になってしまって……(ダメだなあ>俺)。面倒くさがりな私としては,どうせなら最初からDVD版も出して欲しかったなあなんて思ってみたり(贅沢な悩みだとは自覚しているんですけどね)。不満はこれくらいですね。 【絵】B+ 担当は「西又葵」「鈴平ひろ」両氏。どちらも個性的な絵柄ですが,とても可愛くて良いと思います。純愛系作品にぴったりの原画家さんですね。特に個人的には後者の原画家さんの絵が好きだなあ。また,「それ散る」と違って今回は食い倒れ人形のような奇天烈な制服のデザインでもなく,普通に可愛らしい制服だったのも良かったです(萌え・エロ両面で)。 ただ,やや不満が残る点はソックス描写かな。通常の一枚絵ではそんなでもないんですが,エロ絵でソックスにあまり質感が無いので,着衣Hスキー的には厳しい。これは私感ですが,おそらく塗りが悪いんだと思いますね。単調なソックスの塗りのせいで,脚部の輪郭とかソックスの皺などがあまり良く表現できていない。ここら辺は次回作以降,もっと拘って塗って欲しいです。あと,個人的には西又氏担当分のキャラの描き分けがあまりうまくいっていないように思いました。味があって良い絵だと思うんですけど,ぶっちゃけ皆同じキャラに見えるんですよね。また,制服のデザインは良いんですが,私服のデザインが個人的にはあまり良くなかった。凝りすぎて却って魅力を損ねてしまった感があります。夏場という設定上,シースルー系の服装が多いのは仕方ないんでしょうけど,あの服装は流石に……。下着とかもちょっと学生にはアダルトすぎでしたし。さらに,一部の絵で構図等がおかしいものがあるのも気になりました。例えば,麻弓が階段から落ちて主人公を組み伏せる格好になったシーンで関節下の足が描かれていないことや,どう考えてもあり得ないポーズでヒロイン達が主人公に倒れかかってくることなどが好例。まあ,ここら辺は個々人の感覚にも依るのかもしれませんし,ご都合主義と笑ってごまかす所なのかもしれませんが,一応気になったので付言しておきます。 【音楽・音声】音楽:B,音声:B− 音楽については可もなく不可もなくといったところ。楽曲,特にBGMの出来では飛び抜けたものはないですね。ただ,作品の雰囲気にはよく合っていたと思います。あと,平凡な楽曲の多い中で,主題歌「Mirage Lullaby」は頭一つ抜き出た出来。「それ散る」の主題歌「days」等を彷彿とさせるようなアレンジで,なかなか聴き応えがあるのではないかと思いました。 他方,音声については男性も含めてフルボイス。特に男性陣の配役は神です。凄すぎ(w。ただ,その反面,全体的に女性の声は声質が高すぎ&幼すぎかな。西又氏の絵にはちょうどあっていると思うのですが,西又氏よりも大人っぽい絵柄である鈴平氏の絵にはあんまりあっていない気がしました。まあ,そんななかでもカレハ(@日向裕羅)みたいにぴったりだと思ったキャラもですけどね。あと,エロの喘ぎで声がかすれてしまったり演技が拙くなってしまう声優さんが散見されたのも残念。日常会話ならまだしも,エロではその巧拙が如術にでてしまうので,もう少し鍛錬を積んで頂きたかったというのが正直なところですね。 【エロ】C+ 原則各キャラともHは2回。Hは着衣Hが中心。フェラ音あり。純愛系ではあるが,作品の雰囲気を損なわない限度でエロテキスト等も健闘している。 ……と頑張っている様子はひしひしと伝わってくるんですが,あまりそれがエロさに繋がらない。ここら辺は人によりけりだと思うのですが,個人的には殆ど抜けなかったです。というのも,(1)絵がそもそもエロくない(エロゲーよりはギャルゲー向きな絵だと思います),(2)エロの演技が全般的に拙い,(3)着衣Hの出来が余り良くない(例:すぐにソックスだけになってしまう,凝った構図にしたせいで却って胸元・ソックス・股付近のような肝心な所が見えにくくなる,描写角度が悪いせいで顔が別人に見える,私服のデザインが良くなくて抜けない etc.),これらのせいなんですよね。すごく勿体なかったです。 あと,攻略(=H)できないキャラが多かったのも×。麻弓やカレハ,紅女史らにHが無いのはどういう了見だと小一時間(ry。「それ散る」とかでもそうでしたけど,魅力的なサブキャラを出しておきながら攻略及びHが出来ないようにするのはマジで止めて欲しいところです(メインヒロインを攻略できないF&C作品じゃないんだから)。これは凄く不満に思った点ですね。 【シナリオ】B− 担当は「あごバリア」「Long Cube」両氏。結論から言ってしまうと「微妙」かなあ……。キャラや設定は滅茶苦茶良いんですよ。まさに学園ものドタバタラブコメで,プレーしていてキャラ同士のやりとりを見ているのが凄く楽しい。でも,シナリオとしては決して褒められたレベルではないと思います。というのも,シナリオが短すぎるため各イベントの描写が不十分なんですよね。折角魅力的なキャラや良いイベントをいれているのに,どれをとっても描写不足で楽しめない。例えば海水浴イベントなどが典型で,折角“おいしい”イベントを入れているのにちょっと使ったらすぐに使い捨てで有効活用できていません。いうならば「海水浴に行きました。そこでみんなとビーチバレーをしました。楽しかったです。」並で,ただ入れただけという感じが色濃く出ていた(そしてそのせいでイベントの出し方が唐突に感じられることが多いですし,また,インパクトも薄くなってしまっている)のは勿体ない。もっと一個一個のイベントを丹念に描けばより話が面白くなったと思うのですが……。 あごバリア氏の過去作品「21-two one-」でもそうでしたが,氏のシナリオは設定ばかりが先行して,シナリオ自体の書込が全然足りていない。そのため,結局個々のイベントを組み合わせて「一つの話を編む」というレベルには至らず,単なるイベントの羅列と化してしまうところ,これが氏のシナリオの最大の弱点だと思います。今回は小難しい設定が無いので大丈夫かなと思っていたんですが,やっぱダメでした。ホント,これだけ良い設定&キャラなのになあ……勿体なさすぎ。 (´-`).。oO(個人的には今回のシナリオより某誌の漫画の方が面白かったなあ。同じ設定なのに) (´-`).。oO(後,どうせなら今回の設定とキャラで別のライターさんにリライトしてもらいたい…) 【結論】B 「全体的な完成度は高いが,シナリオが足を引っ張ってしまった作品。設定等が良いだけに勿体なさすぎ」。ホント設定やキャラは良いんですよ。けれども,いざこれをシナリオへ起こすぞっていう肝心なところでしくじってしまっています。この点,個人的にはガッカリですね。でもまあ,見所のあるソフトであることは間違いないですので,次回作には期待したいと思っています。出来れば今度はライターを代えて再チャレンジして欲しいところです。 マイ萌えキャラ→亜沙先輩かな。意外と甘え上手なところが良い感じです。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― レビューデータベースに戻る |