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 屍姫と羊と嗤う月-cry for the moon-
 メーカー名:BaseSon
 発売日:
2003/08/29
 メーカーホームページ:http://www.tactics.ne.jp        評価:B(70点)
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 某所で「唯緒が最高だ」と聞いたので買ってしまいました。試しにやってみた体験版もかなり惹かれるものがあったので期待していたのですが,果たしてその出来は?

【システム】B+
 悪くはないですね。必要な機能(save,load,ボリューム調整,メッセージスキップの未既読判定,ファンクションキーの位置割付,バックログ時の音声再生機能etc.)は概ねそろっている感があります。また,終始動作が安定していた点も非常によい。ただ,(1)ディスクレスでのプレーが出来ない。毎回起動時に認証する必要があるのはやはり面倒。(2)メッセージ枠が8行対応のため,場合によっては字だらけになって読みにくい。一般的なADVのメッセージ枠をわずかに広げただけのスペースに最大8行もの字を詰めるので,行間が無く読みにくかった。あのくらいのスペースなら6〜7行にしてもう少し改行幅をとって欲しかったですね。(3)セーブ・ロードの呼び出しが面倒。セーブ・ロードする際に必ずシステム画面を起動しないといけないのは意外と面倒でした。メッセージ枠の側面に配置して,ワンクリックで起動できたら良かったのになあ。(4)バックログの登録が枠単位なので使いにくい。1〜2個前の台詞を出そうとしても,枠単位で登録されるため,その枠分(最大8行)の台詞・ト書きを読了してからでないとそれらの台詞を表示できないのは不便でした。これらが欠点かな。


【絵】B+
 担当は「片桐雛太」「かんたか」両氏。独特な絵柄ですが,かなり可愛い絵で◎。特に叶子の絵なんか最高でした。日常の絵もエロ絵もかなり頑張っている方じゃないかな。また,情景(昼と夜の光の当たり方の違いなど)によって塗りを変えている(夜はちゃんと顔色を薄暗くするなど)点や立ち絵・一枚絵ともこまめに表情を変えている点は感心しました。全体的に丁寧な仕事ぶりだと思います。ただ,唯緒の絵が終始一貫していない(顔が幼くなったり大人びたりと,何の必然もなく絵柄がブレる)点と,宝石のような目の塗りのせいでエロシーンで萎える点,この2つは個人的にはマイナスでした。あとはなんといっても小西(眼鏡女)。はっきり言ってキモイです,こいつの絵(特に立ち絵)。ああいう丸顔に眼鏡はマズイよ,マジで……。


【音楽・音声】音楽:D,音声:B+
 音楽ですが,BGMの方は悪くないです。特筆すべきものは無いですけど,作品の雰囲気にはマッチしていました。ただ,主題歌。これが頂けない。OP(デモムービー)・EDとも,あまりの歌の下手さに閉口してしまいました。EDがとばせたから良いものの,あれを毎回聞かされたら拷問だな,とか思ってみたり。

 他方,音声についてですが,これは流石NEXTON。いつも通りの充実した布陣(大波こなみ,青山ゆかり,吉川華生,北都南,鷹月さくら)で,エロ・会話どちらの演技も高レベル。安心して聞けます。ただ,及川の音声がなかったのと,唯緒などを中心として,全体的に演技がわざとらしい(凝りすぎ)のは気になりました。特に前者は,会話などで及川の部分だけサイレントになって,結果,話のテンポが殺がれることが多く,興ざめな面が有ったことは付言しておきます。


【エロ】B−
 純愛系としては頑張っている方だと思いますが,やはり薄い。とりわけ大半のヒロインとのH回数が1〜2回しか無いのが痛いですね。特に唯緒はプールでのHの1回のみで,このキャラとのHを期待していた私としてはガッカリ。あの制服,古めかしいセーラー服と黒ニーソ+ブーツのアンバランスさを楽しみながらの着衣Hを味合わせてくれたら,B+かA−にしたんだけどね。あと,【絵】でも述べましたけど,宝石のような目の塗りが不気味で,興ざめすることがしばしば。通常のシーンではああいう目にする必然(唯緒や明星などでは特に)があるんですけど,Hではそれがないので何故ああしたか疑問。ちょっとどうにかならないかなあ,と思いました。

 ただ,叶子のレイプシーン。あれの描写は秀逸(絵・テキストとも)。巷であふれる凌辱ゲーとは違い,純然たる暴力・強姦なので,異様なリアリティがあります。すぐに靡いてしまうような軽さ・軽率さはなく,思わず目を背けたくなるような純粋な暴力,これの連続であり,心が痛むこともしばしば。心理描写や事後のケアも含め,極めて丁寧な描写で感心しました。これは一見の価値があるでしょう。


【シナリオ】B+
 担当は「青山拓也」「前田辺」両氏。結論から言ってしまうと,「良い線行ってるんだけど全体としては微妙」かなあ。

 まず,キャラクターの描写,とりわけ心理描写は上手い。特に,平凡ながらも幸せな学園生活を送っていた叶子がレイプ事件を機に奈落の底に突き落とされるくだりとか,かたくなに心を閉ざしてきた唯緒が最後に主人公にうち解け,照れ隠しにそっけない素振りをしながらも甘えてくるシーンなどは秀逸。「こころ」の描写という点に関してはかなり力が入れられており,読む価値のある,そんな出来だと思います。また,化け物に対する人間の無力感が良く描写されているのも◎。この類のゲームだと,何らかの奇跡・偶然・火事場の馬鹿力で人間が化け物を圧倒してしまう,という展開がお決まりのようにありますが,今作ではそのようなことはなく,終始一貫して人間は化け物に翻弄されることになります。そして,ヒロインたちと結ばれるときもあくまで対化け物という前提が崩されていない。設定に一貫性があることは感心しました。

 しかし,他方でシナリオ自体の出来(構成・話の面白さ等)は今ひとつ。話の展開よりもキャラの心理描写に主眼がおかれているため,シナリオ全体にわたってストーリー性が乏しく,「物語を楽しむ」というゲームで無くなっています。また,メザマレクの石やノスフェラトゥといった作中のキーとなる要素についても殆ど説明が無く,あくまでもその「雰囲気」を楽しむにとどまっている(つまり,これらの要素が作中の重要なファクターとして出てくるのではなく,あくまで話を盛り上げ独特の雰囲気を持たせる道具にとどまっている)点で消化不良に感じられる方もいるのではないかと思います。さらにいってしまうと,明星や花は話の本筋と殆ど絡むことがなく,そもそも何のために登場させたのかわからなかったのもマイナスですね。メインルートで登場し話に絡んでくるならまだしも,明星などサブルートに入らないと姿さえ見せないので,その存在意義が全く感じられませんでした。この2人を出す以上は,何らかの形で本筋である唯緒関連のトピックスに結びつけて欲しかったですね。

 今作は2人のライターが分担しているのですが,そのせいで唯緒・叶子ルートと明星・花ルートで全く感じが違います。個人的にはこの点は特段減点対象になるとは思っていません(むしろ,同一の世界で2通りの作風を味わえたので良かったと思っています)。けれども,この2ルートの接点が全く存在せず,半ばパラレルワールドのように話が展開されてしまうのは,話のまとまりに欠け,不満でした。先にも述べましたが,やはりキャラを出す以上はちゃんと他のキャラに絡んで欲しいし,また,1つのゲームとして出す以上は全体として1つの話にまとまって欲しい,それが私感です。


【結論】B
 「キャラクターの描写は優れているが他は平凡。全体的なレベルは高いが突き抜けたところもない作品」。そつなくまとまっている点は高く評価できるんですが,「これは!!」というようなところが無いのは残念。また,全体的にみて話のまとまりに欠け,プレー後あまり印象に残らないのもつらいところですね。キャラクターの描写は丁寧で良いのだから,今度はストーリー自体のレベルアップを図って欲しい,そう感じました。あ,あとエロの増強もね。

 マイ萌えキャラ→姫岸唯緒しかいないでしょ! ラストの甘えっぷりがたまりません(;´Д`)ハァハァ


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