ヤミと帽子と本の旅人
 メーカー名:ROOT
 発売日:2002/12/20
 メーカーホームページ:
http://orbit-soft.com/       評価:A−(85点)
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 私は基本的には話題作って買わないんですけど,たまにはいいかな,と思って刈ったのが本作です。値段安め,絵もカーネリアン女史で綺麗,と購入意欲がそそられた面も有りましたので。

【システム】A
 必要十分な機能が備わっており、また動作自体もきわめて軽快で◎。マウス片手に気楽にプレーできる点が良かったです。セーブ数も多いですし、文句なしです。

【音楽・音声】ともにA−
 効果音中心でBGMが殆ど無い(Hシーン他のみ)という独特の音響に関しては賛否両論有ると思いますが、私は概ね制作者側の目論見は上手くいったと感じました。敢えてBGMを排し効果音主体とすることで、場の緊張感がよく保たれていたと思います。ただ、一部、無意味に無音の状態が続く場面があったことは気になりました。
一方、音声のレベルは高いです。プレー中、不快感無く音声を聞くことが出来ました。また、その会話の環境に応じて音声にイフェクトが掛けられている点も良かったです(たとえば、シャワールームでの会話は音が反響する、など)。ただ、一部Hシーンに限っては、やや演技が不十分なものも散見されました。

【絵】A
 言うまでもないです。文句なし。特に個人的には蓉子(男装女性)のチャイナ服姿が大いに気に入りました。カーネリアン女史の作品は「レンズの向こう側」以来、久方ぶりにプレーしましたが、昔よりも絵に色気が出ていて大変満足しています。ただ、背景はやや不満。場が変わっても背景が変化しない場面があったので少し戸惑いました。

【エロ】B+
 はっきり言ってエロテキストは並ですが、絵がエロいので結構抜けます。Hの殆どが着衣Hなのもポイント高いです。個人的には蓉子のチャイナ服HやヤミのエプロンHにはぐっと来ました(てか蓉子は設定的にも好きだ)。た・だ・し、某セーラー服黒髪少女(ネタバレにつき名前は伏せます)と玉藻の前にHシーンが無いのは理解に苦しむ。特に某セーラー服のHは本気で期待していたのに……。メガストア1月号のエロエロな表紙は嘘だったんかいと、本気で小一時間問いつめたい。

【シナリオ】B+
 私は雑誌の特集とかを見て、てっきりシリアスドラマかと思っていたのですが、実際は全然違いました。シリアスな内容も有りますが、基本的にはコメディ中心。とくにヤミのエンディングおよびその近辺は、あまりの馬鹿馬鹿しさに笑ってしまいました。ネタバレになるので詳細は記しませんが、いくらなんでもヤミに銭湯通いはないだろう、と(w
 また、シナリオの内容自体はさまざまな世界を行き来するというもので、ともかく何でも詰め込んだ感があります。また、1つ1つの世界にしても大して大きな事件が起きるわけではありません(てか、はっきり言って殆どの事件がくだらない)。けれども、それぞれの世界に渡る必然を(一応)設けて、バラバラな諸世界をきちんと作品中で1つにまとめ上げている点は評価できるかと思います。いうなら、色々な世界を絵本をめくることで旅する、その「旅」の雰囲気を味わうゲームです。
 ただし、難点を言うなら、(1)ゲームを起動した途端、選択画面等が一切出ずにいきなり本編が始まること、さらに話の主体(プレーヤーの視点)がころころ変わること、この2つによりプレーヤーが置いてきぼりを食らって勝手にシナリオが進行してしまう、(2)ギャグが全体的に寒い、(3)テキストがやや稚拙、(4)個々の世界の印象が薄い、以上4点は挙げられると思います。

【結論】A−
 結論は「銀河鉄道999+不思議の国のアリスの18禁版?」です。内容自体は違いますが、雰囲気がなんか似ているように個人的には感じました。ともかく「旅」「絵本」という雰囲気にこだわったゲームであり、エロも純愛系としては結構濃いめですので、少し寒めのコメディに耐えられる人にはお勧めです。プレー時間も長すぎず短すぎずといったところで、不毛なCG回収作業もあまりしないで済むので良いのではないでしょうか。個人的には良い買い物をしたと思っています。5,800円分の価値は間違いなく有ったといえるでしょう。


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