夜明け前より瑠璃色な
 メーカー名:オーガスト
 発売日:2005/09/22
 メーカーホームページ:
http://august-soft.com/        評価:B−(65点)
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 幼くて可愛い系な絵柄ながら,着衣Hが多くて妙にエロっちい,そんな「べっかんこう」氏の絵&エロを目的に購入しました。あとは純愛系ADVということで,ストーリーも楽しめたらいいなあ,なんて思ったりも。はてさて……。


【システム】A
 システムは至れり尽くせりでほぼ完璧。必要と考え得るすべての機能(音声再生機能付きバックログ,各種カスタマイズ機能,ディスクレスプレー可,未既読判定付メッセージスキップ等)を完備しています。また,各種ショートカットがふんだんに設けられている上,F12キーで機能一覧を表示できる等,「PCにインストールしさえすればマニュアルが無くても困らない」仕様になっているのは高く評価したい。動作面も軽快・安定で,非常に良くできています。◎。


【音楽・音声】音楽:B−,音声:A−
 音楽はほのぼの系が中心。出来自体は悪くなく,数も多いしシーンにもよく合っていていいと思いますが,ただ「これはっ!」と思うような心に残る曲が無かったのは残念だなあ。良くも悪くも“標準的”な感じを受けました。他方,音声はなかなかのレベル。誰一人として演技面で「?」と思わされるようなことが無かったのは良かったと思います。


【絵・エロ】絵・エロともにB+
 担当は「べっかんこう」氏。幼い系の絵柄でとても可愛らしい絵を描かれます。でも,エロ面では着衣Hを中心にしっかりと描き込んでいて,絵柄とのアンバランスさが堪らない,そんな原画家さんです。本作でもそういった点は顕著で,こういう可愛らしい絵柄であれだけしつこく着衣Hをやってくれると(基本的に,本作では作中ヒロインが身に纏った殆ど全ての服装で着衣Hをしてくれます。しかも,靴下やストッキング等,意外とおざなりにされやすい足回りの描写もしっかりとしていて,着衣H的には高く評価できるところです),ロリの気のない私でもかなりムラムラっと来てしまいますね。エロ描写の出来は良いんじゃないでしょうか。

 ただ,絵的にエロがある反面,シチュ的にはエロに乏しく,良くも悪くも「ガキ同士の乳くり合い」止まりになってしまっているのは△。ウブな恋愛を好まれる方には良いかもしれませんが,そこから更に一歩進めて「ヒロインをエロく染め上げていく」ところまでには至らないので,Hのシチュエーションや過程を重視される方にとっては物足りなく感じられるかもしれない点,付言しておきたいと思います。個人的にはもう少し「好きあってからヒロインを自分色に染め上げていく迄の過程」を掘り下げて描いて欲しかったと思いますね。ちょっと勿体ないですなあ。


【シナリオ】D−(出来的にはB−位か)
 結論から言いましょう。「丁寧に話を紡いでいるとは思うが,ともかくつまらない」。これが私の偽り無き読後感です。最初に断っておくと,模範的なシナリオではあります。やや文体が硬いものの,誤字脱字等は少なく,十分に読めるレベルです。内容面でも,まさに「純愛系シナリオの王道」ともいうべき内容を,王道と目される手法や題材を用いて手堅く描いています。突拍子もなく鬱展開を混ぜてくることなど無く,最後まで予想できる展開が続く(たとえば,「身分違いの恋」とか「離ればなれになる恋人」といったフレーズから想像できる展開がまんま繰り広げられます)ので,安心してプレーできることは間違いありません。ただ,あまりに王道すぎて,なんの意外性もないところが個人的には引っかかりました。確かに私は今まで王道に則った展開を貶めることはなく,むしろ高い評価をしてきました。しかしそれは,王道的な展開の中にも「本作だけにある売り・違い」みたいなものがあったからこそです。残念ながら本作にはそれがない。あくまでも「展開の予想が付く使い古されたストーリー」があるのみ。その為,プレーしていて「面白い」「感動した」「感銘を受けた」等といった感を受けたことは一つとして無く,ただただ義務的にページを繰るだけでした。やはり大切な金と時間を割いてプレーする以上は,何らかの付加価値が欲しいというのが本音です。

 あと,主人公の精神構造が幼い(現実の認識度合いが甘くて「泣きわめくだけの無力なガキ」にしか見えない)上,周囲の大人の認識も甘いため,折角厳しい現実を乗り越えて愛する二人が結ばれるまでの過程を描こうとしているのに,結局は予定調和と絵空事の世界を脱することが出来ておらず,不必要に作品のリアリティを殺いでしまっている点も残念に思えてなりませんでした。


【結論】B−
 「丁寧に粗なく作っているのはよくわかるが,プレーしていて何も面白いと感じられるものがなかったのが致命傷だった作品」。作品として良くできているのは重々承知していますが,やはりやっていて何一つとして面白いと思ったところが無いのが痛い。勿論好みとか個人差といったものもあるとは思いますが,私としては退屈な,そんなゲームといわざるを得ませんでした。残念。



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