僕と彼女とココロの欠片
 メーカー名:Milky Kiss
 発売日:2003/08/08
 メーカーホームページ:
http://www.dw-soft.co.jp/milkykiss/        評価:C+(55点)
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[お断り]当サイトでは基本的に作品全体につきバランス良く評価を出す(ある要素がダメでも他が良ければそこそこの評価を出す,みたいな形で)ように心がけていますが,本作品では敢えてある要素に対する評価を重視して総合評価を出しました。以下に詳述しますのでご覧頂けると幸いです。

【システム】A
 使いやすいの一言ですね。細部にまで渡って調整可能な各種カスタマイズ機能を完備。バックログのテキスト読み返し機能も当然装備。セーブ&ロード機能も画像・コメント・シナリオ名まで記録可能と,全般に渡ってとても使いやすかったです。動作も安定していてかつ軽快なため,プレーしていてストレスが溜まることはありませんでした。
 唯一不満があるとすれば,データを上書きする時にもわざわざコメントを打ち直さないといけない点(つまり,例えば「明日香4」というセーブデータに上書きをしようとすると,コメント入力欄に「明日香4」と表示されずデフォルトの「僕と彼女とココロの欠片」というコメントが表示される。なので,毎回デフォルトのコメントを消去した上で入れたいコメントを再入力しないとダメ)ですが,さほど大きな不満というわけではありません。システムについては◎ですね。

【音楽・音声】音楽:A,音声:C
 音楽については珠玉の出来かと思います。もの悲しくて,でも綺麗,そんな楽曲が中心で大満足。特に「スカボローフェア」は聴いてて堪りませんでした。また,主題歌もOP・EDとも素晴らしい出来で,是非ともfull ver.で聴いてみたいな,と思わされましたね(特にOP)。音楽については文句のつけようがありませんでした。
 他方,音声についてですが,こちらは演技力に幅があります。明日香役や司役の声優さんはキャラにバッチリ合っていて演技についても文句が無く,大変良かったと思いますが,杏子役や悠役の声優さんの演技には個人的には首を傾げるところがありました(あと杏子の声はそもそも聞こえにくかった)。音声については玉石混淆というのが私感ですね。
 あと,離れたところから声をかけられた時には音をぼかしたり,片方のイヤホンからのみ音を出すようにするなど,音響効果に気を遣っているところが多く見られた点は特筆すべきかと思います。効果の程は微妙だと思いますが(苦w),でも個人的には凝ってるなという感を受けました。

【絵】C
 担当は「かつまれい」氏。正直絵の出来は微妙かな,と思います。個人的に余り好きな絵柄では無いというのもあるんですが,それ以上に,描写角度によって顔が別人になったり,顔の形が横長の楕円形になったりするのには激しく違和感を覚えました。あと,意識を失った悠の顔・目が滅茶苦茶怖くて引いてしまいました……一瞬ホラー映画かと思ったよ……д`;)。
 ただ,背景画については絶品。実際に取材までしてきたそうで,非常に良く瀬戸内の景色が描き出されている点には感心しました。瀬戸内独特の雰囲気が出ていたのは大変良かったです。

【エロ】E
 激薄。個人的には一度も抜けませんでした。エロ目的なら回避が賢明ですね。

 個人的に一番許せないのは悠との2度目以降のH。まったく描写がありません。2度目のHなど,折角妹が制服を着ているのに,「僕たちは革靴も脱がずに玄関でそのまま愛し合った」等と表示しておしまいって……犯ってんならちゃんとそのシーンを描けや!!ヽ(`Д´)ノ ウワァァン 折角の着衣Hの機会なのに……あーあ……。

【シナリオ】D−(技巧:B+,内容:E)
 で,最大の問題だったのはこのシナリオ(担当は「帚星奇機」「無頼寿あさむ」「秋津霜子」「NAMA」の各氏)。今回はこのシナリオのために大きく総合評価を下げることになりました。最初にお断りしておきますが,シナリオ自体の出来は悪くないです。標準以上の完成度だとは思います。ただ,その内容,とくに結末が個人的に納得できなかった。そのため,このような評価になった次第です。ここではそのことについて述べたいと思います。

 (1)内容面ネタバレにつき別頁<ネタバレがダメな方は閲覧しないで下さい>
 ネタバレ無しの形でポイントをまとめると,(a)結末が×,(b)キャラクターがしつこすぎて×(明日香を除く),(c)主人公が重度のDQNで×,以上3点になります。

 (2)技巧(構成・描写他)面   技巧面は決して悪くありません。笑い・ギャグとシリアスが適度にまぶしてあり,緩急取り混ぜた展開で,やっていて単調な感を受けなかった点は◎。ギャグとかもはっきり言ってくだらないんですが,でも何故か笑ってしまう,そんな出来でした。プールの清掃合戦の為だけにわざわざ機械化したデッキブラシの3D映像をつくるなど,明らかに力のいれどころを間違えている姿勢には楽しませて貰いました。また,テキストもやや硬い言い回しが多い(主人公の心情描写で「脆弱性」などといった言葉を使うのは硬すぎでしょう)のは気になりましたが,違和感を覚えるほどではなく,しっかりと話を描けていたと思います。ただ,(a)前半部(学園生活)と後半部(故郷での生活)の繋ぎがやや唐突で話の毛色も全く違うため,突然話の展開が変わって違和感を感じた点,(b)1回のプレーで話の全容がわかってしまう構成(詳細はネタバレ頁参照),以上2点はマイナスかな。


【結論】C+
 丁寧に作り込んであるのは良くわかりますが,個人的には話,特に結末とキャラクター・主人公の魅力の無さが耐えられませんでした。また,エロの薄さもエロゲーとしてはマイナスかと思います。非常に評価の難しい作品だと思いますね。私はこういう話はダメなので,かなり悩んだんですが今回は敢えて低めの評価としました。ただ,逆にこういう類の話が好きな方はもっと高い評価を下されるかも知れません。ですので,今回はいつも以上に一個人の意見だと意識してこのレビューを捉えて頂けるとありがたいです。
 個人的には,何の感動も泣きも萌えも無く,ただ胸に重苦しさのみが残った作品でした。ああ鬱だ……。

 個人的に好きなキャラ→榊明日香(良いお姉さんです。あのダメ主人公には勿体ない……)


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