Men at Work! 3〜ハンター達の青春〜
 メーカー名:Studio e.go!
 発売日:2002/12/27
 メーカーホームページ:
http://www.studio-ego.co.jp/        評価:B+(75点)
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 絵に惹かれて買ってしまいました。

【システム】B
 システムについてはいつものエゴ。いつも不満に思っている(1)バックログに音声再生機能が無い点(2)セーブ可能数が少ない点を除き,これといって機能面では不満はありませんでした。また,強制終了等もなく安定してプレー出来るのは良かった。ただ,私が普段使用しているSHARP Mebius PC-MJ760C(メモリを256MBに増設,推奨環境以上のスペックはあるはず)だと,時間の経過とともに動作が重くなってしまい,かなりプレーしづらかったです。正直,快適にはプレー出来ませんでした(ただ,借りてきたLaVie C LC500/5では頗る快適にプレー出来たんですけどね)。もうちょっと動作が軽かったら良かったのになあ,なんて思ったり。


【音楽・音声】音楽・音声ともA−
 まず,音楽は良くできていたと思います。特に夜間の音楽とかは躍動感が出てて良かったです。また,主題歌2曲の出来も良く,特に「青春のソルフェージュ」はノリノリの曲で個人的には大好きですね。エゴゲー主題歌の中でもかなりの出来なんじゃないでしょうか。いつもの事ながらしっかりとフルコーラスの主題歌もCD媒体で同梱されていますし,ここら辺の,音楽CDを別売りにして儲けようと考えている他メーカーにはない配慮は毎度の事ながら嬉しいですね。◎。

 また,音声の方も十二分の出来。いつもと同じく男性を含めてフルボイス(ただし汎用キャラを除く)で,男性・女性とも満足のいく演技レベル。ここら辺,毎度の事ながら流石はエゴと唸らされる出来ですね。文句なしです。


【絵・エロ】絵:A,エロ:B+
 担当は「山本和枝」女史。独特の絵柄ながら,可愛くて綺麗な絵です。いつも絵のレベルの高い方ですが,今回はその中でもずば抜けて上手い気がします。ともかく絵柄が安定していてかつ洗練されており,ステータス画面の立ち絵がややおかしいことを除き文句のつけようがありません。エロの面でも着衣Hが主体であり,CG数も充実していて大満足の出来。氏の絵のファンにとってはほぼ完璧な出来と言えるでしょう。

 なお,エロについては従前のエゴゲーに比べてかなり充実&丁寧になった感を受けました。エロの回数は多い(各キャラとも一部例外を除いて複数回エロが存在する)ですし,1つ1つのエロにもふんだんに絵を投入しており(1回のエロに何枚もの一枚絵がある),テキストによる描写も比較的丁寧なので十分に満足出来る(抜きに使える)出来だと思います。シチュ的には作風上純愛Hが中心ですが,瑞穂のHなどでは凌辱系のHもあり,限られた範囲内でバラエティを増やそうとしているのは○。抜きゲーに比べると見劣りする感は否めませんが,純愛ゲームとしては大いに健闘していると言えるでしょう。


【ゲームシステム及び内容/シナリオ】シナリオはC
 まずシナリオから説明しますが,内容はぶっちゃけ某「ハ○ーポッターと○者の石」と同じです。汽車に乗って学園のある城に行くところとか,学園のシステムとか,賢者の石を巡る件とか,あまりにも似ていて驚いてしまいました。ですので,序盤・終盤に比べて中盤が中弛みする(詳細は後述)といった某作の問題点もそのまま。ただ,各キャラの会話は出来が良くて結構面白いです。ギャグも含めてキャラが生き生きと造形されているので,プレーしていて楽しかったですね。このようなテキストの妙については高く評価したいところです。

 次にゲームシステムについては,基本的には「IZUMO」と同様のゲームシステム。ADVとRPGの混合で,基本的には3D表現されたマップ上を移動して会話や戦闘を繰り広げるというもの。ただ,今回はハンターが題材と言うことで,依頼や物々交換といった要素が加わり,ダンジョンを移動して戦闘をするだけだった「IZUMO」に比べると,折角の3Dマップをいろいろと有効に活用出来るようになった点は評価したいと思います。

 ただ,そうはいっても正直ゲームシステムやシナリオは微妙な出来だと思います。というのも,

 (1)自由度が高すぎる(というより明確なストーリー軸がない)   序盤(学園にたどり着き,各ヒロインと親交を深め,最後パーティを組むに至るまでの過程)や終盤(事の真相が明らかになり,事件を解決して各エンディングに至るまでの過程)と違って中盤は明確なストーリー軸がなく,何をして良いのか全く分からなくなるのは困りました。攻略記事を見ないと何をしたらよいか分からない,そんな風に思われる方も多いのではないでしょうか。自由度を高める場合であっても,やはりプレイヤーを迷子にさせないよう,何らかの形でストーリーの誘導を設けるべきだと私は思いますね。

 (2)レベル上げがかなり面倒   この点が,「IZUMO」とほぼ同じゲームシステムを取っていながら本作が「IZUMO」に劣る点であり,プレーしていて飽きてしまった最大の原因だと個人的には思っています。戦闘さえ繰り返せばどちらも基本的にはサクサクとレベルが上がります。でも,「IZUMO」がストーリーを展開させていく過程で戦闘が行われるのに対し,今作はその大部分がイベント・ストーリー展開とは無関係に,修行という形で行われなければならないために,「レベル上げ=ストーリー展開とは別に行わなければならない作業」と化してしまっているんですよね。だから,最初のうちはいいんですが,次第に面倒くさくなってきてしまうのが非常に残念な所です。やはり戦闘,そしてレベル上げもストーリーの一環として組み込めると,飽きが来にくくて良かったんじゃないかなあと個人的には思いますね。

 (3)汎用キャラとの会話に物々交換以外の役割がない   エゴのゲームはいつもそうなんですけど,必要不可欠なものしかないんですよね。つまり,本筋とは関係のない雑談的な会話とか,隠しキャラとか,秘密イベントみたいな+αの部分が無い。でも,RPGってこういう余計なものにも醍醐味があると思うんですよ。だから,エゴゲーはいつもちゃんと作ってあるんだけど,整然としすぎていてどこかゆとりが無いというか,そんな感じを個人的には受けてしまいます。今回で言えば,汎用キャラの役割が物々交換をすることのみで,学園生活に関する雑談とか,結ばれたヒロインとの関係に対する冷やかしとか,先生に対する噂話とか,そういった会話が一切無いことですね。なんか自動販売機と会話しているみたいでかなり不気味でしたし,また話しかける面白さも無かったというのが正直なところです。もうちょっとここら辺はどうにかならないのかなあ……。

 だからですね。基本はいいだけに,これらのせいでその魅力が損なわれてしまっているのはかなり残念ですねえ……。


【結論】B+
 結論としては「しっかりと作り込んであることは事実だが,でもゆとりが無くて面白みに欠ける」と言うことが出来ると思います。面白くする素地はあるし,作品自体も丁寧に作り込んであるだけに,もう少しユーザーのことを考えた上で+αを充実させてくれるとよりよくなるのになあ,というのが個人的に抱いた感想です。うーん,勿体ないですなあ。

 私の萌えキャラ→やっぱフィリス=サイフォンでしょうか。エンディングの,クールさなんぞ微塵もない熱々バカップルぶりには大笑いでした。


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