スウィートハーツ メーカー名:スウィートハーツ 発売日:2004/01/23 メーカーホームページ:http://www.cd-bros.co.jp/s-hearts/ 評価:B−(65点) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― |
パッケ絵の可愛らしさに惹かれて購入。あの制服での着衣Hを期待していたんですが,果たして……? 【システム】A− CD-BROS系汎用のシステムを使用しているので,「雪桜」等で述べたことがそのまま妥当します。簡単にその内容をまとめると,メッセージスキップに未既読判別ON/OFF機能あり,バックログ時に音声を再生出来る,音声をキャラごとにON/OFF可能,ホイールマウス・Ctrlスキップに対応,BGM・音声・効果音のボリューム調整可能,動作が軽快・安定,とこんな感じですね。相変わらず使いやすいシステムで,安心してプレーできるのは◎。また,今回ヒント機能が搭載された点は特筆すべき事項かと思います。これは遙以外の各キャラの好感度に関わる選択肢に,その該当キャラのアイコンが表示されるという機能で,これのおかげで攻略がかなり楽になります。しかも,ON/OFFの選択が可能なので,あくまで自力で,という人にも対応している点は嬉しい。ただし,この機能を用いても回収できないCGとかもあるので,100%頼り切り,というのは少し厳しいかもしれませんが。 ただ,反面,不満な点も従来通り残存。(1)CDレスプレーが出来ない(ゲームスタート時にGAME DISKが必要),(2)アクティブウインドウにしないと動作が止まってしまう(他と同時進行で動かすことが出来ないのでスキップ等が面倒),この2つはやはり不便ですね。あと,(3)メッセージスキップがやや遅め(スキップ速度自体は速いのですが,効果音等の入るところで一瞬スキップが止まりブランクが生じる)なのも気になりました。これら3点は改善を切に希望するところです。 【音楽・音声】音楽:C,音声:B− 音楽は並。可もなく不可も無くといったところ。特筆すべき点は見当たりません。ただ,敢えていうなら,個人的には主題歌のボーカルにパンチが足りなかったかなあ,と思いました。楽曲自体は悪くないのに,あまりに歌声が軽すぎて全く印象に残らなかったのは残念。 他方,音声は男性も含めてフルボイス。やっぱり男性にも音声があった方が日常会話が盛り上がって良いですね。また,演技のレベルもなかなかで,聞いてて不快な感を受けなかったのは良かった。ただ,Hの演技は今ひとつ。喘ぎ等に迫真さがなく,「ただ台詞を読んでるだけだなあ……」と個人的には感じました。また,Hにはチュパ音や卑語もありますが,前者はかなり控えめの演技になってます(ちょっと音がするくらい)し,後者も,消しの音がよくテレビでマズイ発言をしたときに使われる「ピロピロピロ〜」という奴なので気が抜ける,と,ちょっと実用面ではケチをつけざるを得ない出来だったのは残念でした。 なお,特筆すべき事柄として効果音が充実していることが挙げられます。たとえば殴る音一つをとっても,その殴り方で効果音を変えるなど,芸の細かいところが見られたのは評価したい。また,風呂場やトランシーバーを通じて会話するときの音響や,叫んだときに画面を揺らすといった画面効果にも力を入れていたのには感心しました。 【絵】C+ 担当は「庵西蘭」氏。感想は……微妙ってところですかねえ……。ともかく絵柄のブレが激しすぎます。良い絵はホントに良いんですが(例えば「遙が制服を着たままベットに腰掛けているシーン」<CG回想Page4の上段左から4つ目>なんかは,パッケ表絵のような可愛くて整った絵柄+制服やニーソの魅力引き立つ構図で,可愛いくせにエロさ爆発な,そんなナイスな出来です。でも,この後すぐに全裸にしてしまってガッカリ……),駄目な絵はホントに駄目。はっきり言って同じ人が描いたとは到底思えないくらいの不揃い具合で,やってて驚くとともに,パッケ絵を見て持った期待を裏切られたかのような印象を抱きました。この絵柄の統一感のなさはどうにかして欲しいですね。先に挙げたCGやパッケ表絵並のレベルをキープし続けてくれていれば,Aに近い評価を出すことも出来たんですがねえ。勿体ない。 あと,立ち絵も酷い。全く質感を感じない(ただ灰色に塗りつぶしただけのような)ニーソや,シリアスな場面も台無しにしてしまうようなヘンテコな顔の表情(シリアスな場面なのにコミカルな表情になってたりする),福笑い状態な顔の各パーツの構成(特に口が変)など,もうどうしようもなかったです。立ち絵の数自体は充実していたのに,そのレベルが低くて台無しにしている感があります。これも勿体ない。 総じて,原画家さんの鍛錬不足だと思いました。あれだけの良い絵も描けるんだから,もっと絵柄を安定させるよう,さらなる修練を積まれることを切に望みます。個人的には今後の成長を期待しています。 【エロ】B まず,極力主観を排して本作のエロを評価すると,「和姦系のエロゲーとしては丁寧な出来で,十分実用にたり得る」と言えると思います。付き合って初めてのH(シスターを除き全員処女。ですから,ちゃんと破瓜の描写あり。ただしCG上では血の描写はありません)から紆余曲折を経て次第にHに慣れていき,最後はお互いに猿のようにセックスしまくるようになるまでのステップアップの過程が丁寧に描写されています。最初はHに恐怖心を抱いている遙が段々とHに対する抵抗感を無くしていく様がちゃんと描かれていたのはエロ的に良かったです。また,エロビデオを一緒に見てフェラのやり方を学んだり,一生懸命ペニスにコンドームをつけてくれたり,本番の後にティッシュで遙の体についた精液をふき取ったりと,本番以外のところにもちゃんと力を入れていた点も評価したい。さらに,風呂・パイズリ・フェラ・水着H・私服H・青姦・3P・腹ボテ・シスター服H・ウェイトレスH(バイト先でのH)・ネグリジェH・バニースーツH・YシャツH・裸エプロンH・制服H・足コキ etc.と,シチュエーションにも凝っています。ですから,先に述べたようにH時の演技は今ひとつですが,それでも十分抜くことが出来ます。なので,和姦好きな方にはお薦めです。 た・だ・し。私は本作のエロに非常に大きな不満があります。それはなんといっても制服Hの少なさ。特に制服での本番Hが1つ程度しか無い(しかも構図が微妙。まともな体勢での着衣Hは皆無に近い)のは非常に不満。制服の状態からHシーンへというのは多いのに,いざHシーンに突入すると速攻で全裸,というのが殆ど。てか,舐めてんのか,と。なんですぐに全裸なんだ,と。せめてニーソくらい履かせたままにしておけ,と。なによりバニースーツを買ってきてそれでの着衣Hをヒロインに強制することは出来るのに,制服のまま押し倒す度胸はねえのか>腐れ主人公,と(-_-#。もうこれ以上は収拾がつかなくなるのでやめますけど,この点は期待していただけにガッカリ。なんかこれだけでプレー意欲が減退するというかなんというか。ですので,制服での着衣Hを求められる方にはお薦めできません。 【シナリオ】C+ 担当は「佐野心音」氏。まず,出来としては悪くありません。少なくとも初回プレー時は結構楽しめました。「雪桜」と同種の作品で,特に大きいイベント・修羅場がおきることなく,マターリと学生生活と恋人とのセックスを楽しむゲームです(特に後者はまさに猿の様相を呈しています。お前らやりすぎだ,とw)。ですので,そういう日常を楽しむゲームがお好きな方や,さくっと気軽にプレーしたい方には向いています。反面,明確な話の展開や構造,つまり「読ませるシナリオ」を期待する方は回避が賢明でしょう。個人的には思ったよりも話がしっかりとしていたのには感心しました。 ただ,(1)主人公がガキ・わがまま・DQNでついていけなかった。特にシスタールートで顕著ですね。主人公の言動のあまりのガキっぽさ・頭の悪さ・配慮のなさにやっててイライラ。「『まるで俺が遙のことを虐めてるみたいじゃないか』って,お前,その通りだろうが!!」とか,思わず心の中でつっこみを入れてしまったほどです。(2)登場人物の魅力が乏しい。どうもステレオタイプなヒロイン像が多く,既視感が漂いまくりであまり感情移入が出来ませんでした。(3)共通ルートが長すぎる。遙と仲を深めHしまくる共通ルートが作品の大半を占めているため,繰り返しプレーの際に何度も同じシーンを見せられることに。1回目は楽しめるのですが,2回目以降は殆どが既読なので面白味に欠けるんですよね。さらに,遙以外の場合には唐突に温泉旅行後に個別ルートへ派生するため,遙以外のルートだと彫り込み不足で話に深みがありません。(4)正確な意味での「個別ルート」がない。基本的にどのルートにいっても最後に結ばれるのは遙。浮気は駄目だよってことなんでしょうし,修羅場展開になるのを回避したせいなのかもしれませんけど,でもこのせいで遙以外のルートだとエンディングへ至る展開が強引すぎる形になってしまっています。あまりにご都合主義すぎるとキャラの発言に重みが無くなって興ざめになるだけに,もう少し工夫して欲しかったというのが本音ですね。 【結論】B− 「エロ・シナリオとも頑張っている感はあるが,独自性に乏しく不満な点が残る。もう少しこの2つ+絵のレベルアップを図れば,もっと化けたかもしれない作品」。かなり頑張っていると思うのですが,あまりに定番すぎる展開で独自性が見出しにくかったのは残念。それと,やはりキャラクターの魅力不足と絵の不安定さ,制服着衣Hの少なさは痛い。ここら辺が,「雪桜」と内容をほぼ同じくしながらも,私の中で大きく評価を違える原因になったのではないか,そう考えています。作品として一定程度以上のレベルはキープしていますし,目の付け所も良いと思うのですが,個々の要素のレベルがいわゆる「良作」となるには未だ一歩及ばず,そんなところではないかと思います。残念。個人的には次回作に期待したいなと思っています。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― レビューデータベースに戻る |