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 FOLKLORE JAM
 メーカー名:HERMIT
 発売日:2003/10/24
 メーカーホームページ:
http://www.will-game.com/hermit/        評価:A−(85点)
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 当サイト一押しのライターである「丸戸史明」氏が新境地に挑む,ということで,満を持して購入しました。「厘京太朗」氏とのタッグというのはちょっと想像出来なかったんですが,果たして出来の方は如何に。

【ゲームシステム及び内容】
 基本は2択選択肢+マップ移動式を混合させたADV。選択肢の判定が非常にわかりやすい上,そもそも選択肢自体の数が少ないので,変に選択肢に拘泥したりせずノンビリとストーリーを楽しめるようになっているのは大変良かった。選択する回数が多いと作業になりますからねえ。ここら辺の案配は◎だと思います。


【攻略メモ−攻略のための簡単なヒント−】
 なお,本作品は攻略が比較的容易なので,敢えて攻略メモを作りませんが,簡単にヒント,というかコツを言っておくと,

 (1)狙っている女の子と行動をともにし,かつその女の子を持ち上げるような選択肢を選び続ける。なお,遥香と碧衣を狙う場合は必ず単独で行動すること。灯台事件後に金城関連の話になれば攻略に成功しています。

 (2)マップ移動では適当でもOK(攻略に大して影響なし?)。少なくとも私は毎回適当に移動場所を選びましたが,そのせいで攻略出来なかったことは一度もありませんでした。ただ,出来る限り場所は総当たり(同じ場所を選び続けない)で行く事が重要かと思います。あと,時が経過すると新たに移動出来る場所が増える時がありますが,ここでは大抵重大なヒントをもらえるので必ず行って下さい。


【システム】B+
 機能的には全く問題ありません。バックログ機能(音声再生可能)やメッセージスキップ(未既読判定あり),各種カスタマイズ機能(音量・表示速度・キー割付など)を完備し,頗る使いやすかったです。また,動作も安定していて,一度も強制終了やフリーズになったりしませんでした。かなり模範的なシステムだと思います。○。

 ただ,やや動作が重めでモッサリ感があったのが気になりました。特に画面効果の切り替えの時に顕著で,なかなか効果が切り替わらないこともしばしば。本作のように話が長い作品だと,画面表示の遅さはかなり気になる点かと思いますね。あと,メッセージスキップの速度もやや遅めなので,複数回プレーをする際に共通パートを攻略するのがやや面倒に感じられたことも付言しておきます。必要な水準は軽くクリアしているシステムですが,欲を言えば,もう少し動作が軽快だったら文句なしだったんですけどね。


【絵】A−
 担当は「厘京太朗」氏。独特の絵柄で有名な方ですね。その絵柄ゆえに人を選ぶ原画家さんだと思うのですが,個人的には好みですし,原画の方も高レベルに仕上がっていると思います(ただ,私としては,【期待の新作】コーナーでも書いたように「Baby, BE」の頃の絵の方が好きなんですけどね。まあ,これはこれでまた別の味があっていいのではないかと)。

 ただし,

 (1)私服のデザインが凝りすぎ,というか奇抜すぎる   「ちょっと流石にこんな服はねぇだろうよ……」というのが私感ですね。特に,エロシーン(着衣H)では,この奇抜なデザインの私服は素敵なまでに映えないと思います。私は完璧に引いてしまいました……(;´д⊂)。制服の方は結構いいと思うんですけどねえ。やっぱもうすこしおとなしめというかリアル志向な服にして欲しかったなあと個人的には思っています。

 (2)女の身体が無骨すぎる   特に維月。いくら威圧感のある女性とはいえ,体格が逞しすぎです(特に立ち絵。エロHとかは良いと思うんですが)。もう少し女性らしい丸みをつけて欲しかった。

 以上2点は気になりました(後はメイド隊の顔のキモさとかも気になりましたけどねw)。個々人の好みの領域だとは思うのですが,一応私としては違和感があったので指摘しておきます。

 
【音楽・音声】音楽:A,音声:B+
 音楽は今流行の「feel」が担当していますが,かなりの出来だと思います。作中の演出と相俟って,巧みに話を盛り立てている点は大変良い。数的にも豊富で,必要な場面に必要なBGMを用意出来ているのは感心しました。また,主題歌「チェリーレッドのピストル」「HACHIMITSU」もかなり出来がよいと思いますね。特に前者はめちゃツボ。サントラCD付属で聞きたい時にいつでも聞けるのも嬉しい配慮(ザウスとかもそうですが,やっぱり製品に音楽CDを付属してくれると印象は良いですね。私はお金を出して作品全体を買っているつもりなので,音楽だけ別売りされると「なんだかなあ」といつも思ってしまうんですよ)。音楽に関してはまったく文句なしです。

 他方,音声についてですが,配役に関しては文句なしです。どのキャラもピッタリの声優さんが声を当てていて,とてもプレーしやすかったです。また,男性も含めてフルボイスだったのもポイント高し。ただ,ところどころに発音のおかしいところがあったのはマイナス。特にアクセントのズレが顕著で,標準語のアクセントと明らかに違うところが散見されたのは残念。あと,所々音声がこもった感じになったり,急に音量が上がったりした(デフォルトの音量が統一されていないのかな?)のも気になりました。


【演出】
 本作はなかなか演出が巧みだったと思います。TVアニメやドラマ番組のように回構成にしてOPとEDを挿入したり,効果音を上手く使って臨場感を出したり,音声にイフェクトをかけたり,カットの入れ方を工夫したりするなど,色々と演出に気を遣っていたのは感心しました。テレビドラマを見ているみたいで良かったです。◎。

 ただ,欲を言えば,戦闘時の臨場感をもっと出して欲しいとは思ったんですけどね(ひなたの戦闘時などで,単にテキストの垂れ流しに終始している場面があったのは残念。盛り上げるようなBGMをかけるとか,打ち合いの効果音をかき鳴らすとかといった工夫がもうちょっと欲しかったですね)。


【エロ】C
 正直エロは薄いです。Hシーン自体は尺も長めだし,描写も丁寧だし,着衣Hが中心だし,チュパ音等もちゃんと完備しているなど,良くできているんですが,シチュが似通っている(処女破瓜H+Hもう1つが基本,凌辱・輪姦なし,全て純愛H,特殊属性はあってアナルHのみetc.)のと,話の長さの割に数が少ないのとで,どうしても抜き目的では厳しく感じられてしまいます。それと,着衣Hの観点で言えば,制服Hは良い(ソックスがデフォ,ちゃんと服の視認性を確保etc.)のですが,前述の通り私服のデザインが奇抜すぎるので,私服Hは正直お薦めできる出来ではありません。

 ただ,H後にヒロインとHの余韻を味わっているシーンが必ずある(無論CG付きで)のには感心しました。ちゃんとH後まで描いているのは,Hに対する丁寧な姿勢が出ており,高く評価したい。総じて言うと,抜き目的では厳しいですが,純愛系にしてはHが丁寧でよい,そのようにお考え頂くと宜しいかと思いますね。


【シナリオ】A
 担当は「丸戸史明 with 企画屋」氏。「ショコラ」「Ripple」のシナリオを担当された方です。氏といえば,軽妙洒脱な会話テキストと,キャラ立て・萌えシチュ作出の妙では並ぶ者がない(と個人的に思っている)方ですが,その氏が本格的なストーリーもの・オカルトものに挑戦したということで,発表当初からかなり期待していました。

 結論から言ってしまうと,非常に面白いです。まず,先に挙げた「軽妙洒脱な会話テキスト」,これは健在で,茂蔵関連のあからさまなネタ(エロゲメーカーの延期話の件とかは爆笑してしまいましたw)もさることながら,ヒロイン達の会話・やりとり自体も軽妙でとても笑えます。義務的に会話テキストを綴るエロゲーが多い中,本作のようにちゃんと「会話が生きている」作品は稀有かと思います。

 他方,「キャラ立て・萌えシチュ」の点では「ショコラ」などには到底及びません。ただ,それは本作が萌えゲーでないからであって,致し方ないことだとは思いますが。しかしその反面,本作ではシナリオ自体の出来やボリュームの充実に力点が置かれています。以下,簡単にシナリオ自体の出来について述べたいと思います。

 第一に,本作のシナリオの構造としては,おおよそ6〜7割の共通ルートの後,残りの個別ルートに入る,というベーシックなものとなっています。共通ルートはどのルートでも展開に差異等は生じません(従って,繰り返しプレー時には何度も同じ話を見る必要がある)。が,個別ルートは全く展開が異なりますし,しかも話の結末や事の元凶まで変わってしまうので,繰り返しプレーしても飽きが来にくい。この最大の原因は,共通ルートで張った伏線を1つのキャラのルートで敢えて全て回収しない点にあります。つまり,例えば作中でa,b,c,d,e,f,gという7つの伏線を張った時,Aルートではa,b,d,Bルートではc,f,g,Cルートではe,f,gのみ回収する,ということ。これにより,1キャラをクリアしただけでは「あいつは一体どうなったんだ?」「あの話はなんだったんだ?」と釈然としないことが多いんですが,しかし繰り返しプレーすると,「ああ,あいつはこのルートででてきたのか」「あの伏線はこのルート用のものだったのね」とわかります。各個別ルートの話の展開に幅を持たせるために伏線を使いわけるという手法には感心しました。余り類をみないスタイルかもしれません。

 第二に,シナリオの概要等についてですが,詳しくはOHPで確認して頂ければよいし,また,具体的な内容について言及するとネタバレとなるので詳細は差し控えますが,簡単に言うとオカルトもの・霊騒動ものです(まんまですが)。「結局霊なんていないんだよ」みたいな展開にはならず,あくまで霊やオカルトの存在を受け容れる(平然と存在を受け容れられる)世界を想定して話が編まれていますので,その手の非現実的な話がダメな方には向きません。また,科学的実証性とか設定の無矛盾性を重視される方にも向きませんので要注意。逆に,こういう類の話が大丈夫なら,かなり楽しんで読めると思います。

 シナリオのボリュームは多く,かなり読み応えがあります。また,緩急を使い分けたメリハリの効いた構成(ホラーでは怖がらせ,シリアスな場面ではとことんシリアスを貫き,ギャグでは落とす)で,読んでいて飽きません。個人的にはかなり好きですね,こういうメリハリの効いたシナリオは。

 ただし,何点か問題点や賛否の分かれる点がありましたので指摘しておきます。

 (1)前半の展開に比べて後半の展開が急   特に,終盤の展開(ヒロインと結ばれ,Hする件からエピローグまで)が早すぎる感がありました。なので,いつの間にか終わっていたと思うこともしばしば。前半のノリで後半も書いてくれると,もっと話に没頭出来て良かったんじゃないかなあと思いました。

 (2)ひなたシナリオでの会話主体<ややネタバレ>   ひなたシナリオで8年前に飛んだ時,主人公に対して助言をする「???」(実際に誰なのかはやって確かめて下さい)ですが,主人公が元の世界に戻ったあとの独白で正体がばれてしまうのはどうかと思いました。あの段階で,誰なのか明かさない方が,あとで正体が判明したシーンに上手く繋がったと思うのですが。

 (3)カットインの多用と時系列   本作はカットインの形式を多用しており,これによってメリハリのある話の運びになっています(ダラダラと同一時間・同一場面の話が続かないので)。しかし,反面,頻繁に場面や主体が変わるので,時系列が入り乱れてわかりにくくなっているケースが幾つかありました(ただ,主体が誰かわからなくなることがなかったのは流石)。

 ストーリー自体を売りにするシナリオである以上,上のような問題点(私は(1)と(2)を問題点と認識しています)はどうしても問題とならざるを得ませんが,しかしこのような点を考慮しても,総じて話全体のレベルは高いと思います。確かに細かい設定に粗がないかというと答えはNOですが,しかし,話全体を読ませる力がある。ですので,細かい点に拘泥せず,話全体を楽しみたいという方には大いにお薦め出来る出来だと言えるでしょう。


【結論】A−
 「質・量ともに充実したシナリオと確固たる設定を軸にバランス良く纏まった良作。問題はエロ薄とシステムのもっさり感か」。欠陥のほとんど無い作品だと思います。話良し,絵良し,エロの中身良し,音楽良し,と非常にバランス良く纏まっている良作で,やっていて充実感があるのは高く評価したい。模範的な作品かと思いますね。あとは更なるエロの充実と,システムの軽量化,この2つさえ達成してくれれば,文句なしのA評価でした。

 全体的に出来の良い本作ですが,特に今回はシナリオの出来が大きいですね。個人的にはBeF時代の厘氏はシナリオに恵まれていない(量・質とも)感があった(なので,Tony氏と並び「不遇の原画家」と認識していました……),それ故,いつもシナリオで作品全体に穴を開けていたように感じられたのですが,本作ではやっといいライターを見つけてこれたのではないかと思ってます(ただ,私には多分にライターの信者の側面があるので,その点は割り引いて考えて頂いた方が良いと思いますが)。次回以降も是非,今作のような充実したシナリオのもとで氏の原画を拝みたい,そう思っています。


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