メタモルファンタジーSP
 メーカー名:エスクード
 発売日:2004/12/17
 メーカーホームページ:
http://www.escude.co.jp/        評価:B(70点)
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 巷での旧作の評判が良かったので購入してみました。ちなみに,当方は旧作未プレイです。


【ゲームシステム及び内容】
 簡単に言うとADV+簡易育成SLG+カードバトルの三種混合といった感じです。うち,ADVパートは移動先選択&会話・行動選択が中心。また,SLGパートはどの授業を受けるのかで成長する要素が変わるというもので,どちらもきわめてベーシックなタイプです。対してカードバトルは,自分の体力や魔力を勘案しながら相手の出すカードを予測し適切なカードをセットする形式(詳細はOHP「メタモルファンタジー」紹介内の「メタモル戦闘」頁をご参照頂きたい)で,幾分か戦略性があり,また,難易度的にも適当で,なかなか良く工夫されているなと感心しました。育成SLG・カードバトルともに好き嫌いの分かれるジャンルだと思いますが,戦略性を持たせたり前後の会話にバリエーションを持たせたり等といった形で,プレイヤーを飽きさせないように様々な工夫がされており,総じて丁寧に作られているように感じました。

 ただ,1つ問題として挙げたいのは,個別ルートに入ってからも育成SLGパートがあるということです。本作では,ラスボス直前まで延々と主人公の育成を続けなければなりません。これははっきり言って面倒以外の何物でもありませんでした。たとえば他社の「ショコラ」及び「ショコラRe-order」などでも指摘した点ですが,個別ルートに入った後も延々と育成等の作業を行わないといけないという形にするとプレイヤーに作業感を与えやすく,かつ,ヒロインとのやりとり・お話に専念することが出来ないという欠点があります。つまり,余計な作業を挟み込んでしまったために却ってゲーム自体の魅力が損なわれる,ということです。これは非常に気になりましたし,また残念な点でもありましたねえ。やはり,個別ルートに入ったら育成パートをなくし,ストーリーに専念できるようにする等の工夫は欲しかったところです。


【システム】B
 システムに関してはおおむね良く整っていると思います。特に,戦闘の難易度調整機能(戦闘スキップ機能を含む)やディスクレスプレー可能な仕様はかなり便利でした。ただ,1つだけ難点を挙げるとするとバックログ機能の弱さかな。メッセージ枠単位でしか表示できず,ある程度前の文章を読み返そうとすると何度もボタンを押さなければならないことや,音声のリピート機能がないことなどは個人的には不満でした。


【音楽・音声】音楽:C+,音声:C−
 音楽の出来は微妙。楽曲自体あか抜けない感じがしますし,また,使用する場面と楽曲との適合性の面でも,やや首を傾げざるを得なかった(ぶっちゃけ合わないと思った)ことがありました。ただ,主題歌「ミラクルファンタジー」の出来は秀逸で,個人的にはかなり気に入っています。なので,当初はC−評価で考えていたんですが,今回は敢えて主題歌の出来の良さを勘案してC+評価としたいと思います。

 他方,音声についてですが,こちらもレベルはやや低め。ヴィルヘルムみたいにナイスな演技をされている方もいるんですが(私としては,あの独特の「グラビトローン!!!」という発音がかなりツボでしたw),女性陣を中心としてその演技レベルに疑問符を投げかけざるを得ない方が多かったのが残念。特にあのビビアンの拙すぎる演技はないだろう,と個人的には思ってしまいました。


【絵・エロ】絵:A−,エロ:B
 担当は「光姫満太郎」氏。顔面における目のバランス等が独特な,ちょっと癖の強い絵柄ですが,非常に可愛らしい女の子を描かれる方ですね。着衣H絵も多く,かつ構図や着崩し具合等にも工夫の跡が多々見られるので個人的にはかなり気に入っています。ストーリー上Hは純愛系が主ですし,また,シチュ的にはゲテモノ×魔女っ娘が中心であるものの,基本的にその内容は女の子へのイタズラ程度にとどまっており陵辱色は強くないので,純愛系のHを好まれる方は安心してプレーできるのではないでしょうか。ただ反面,せっかくのゲテモノ×魔女っ娘というシチュエーションなのに大半がイタズラで終わってしまう(本番には及ばないことが多い。また,処女を奪う等の陵辱シチュが殆ど無い)ため,ゲテモノにより魔女っ娘が嬲られる様を期待している方にとっては肩すかしをくらいかねません。私はまさにそのタイプの人間でして,やはりもう少し陵辱系のシチュエーションを多く盛り込んで貰えると,抜きツールとしては良かったんじゃないかなあと思いました。


【シナリオ】B−
 担当は「籐太」氏。うーん,基本的には可もなく不可もなくな出来だと思います。テキスト面,特にギャグは非常に良く出来ていて,読んでいてかなり笑える(とりわけヴィルヘルムや闇魔法学会員,ハタヤマの両親との会話なんかは最高!)んですが,反面,ストーリー面の出来は平凡でやや単調。話は一応しっかりと作り込んでありますし,また,各ヒロインの魅力も良くでているんですが,そのストーリーを描くことでどういったことを伝えたいのか・何を表したいのかがはっきりと伝わってこないので,正直プレー後にあまり印象に残りませんでした。さらに,先に【ゲームシステム及び内容】で述べたようなゲームシステム上の欠陥もあるために,純粋な形でストーリーにのめり込むことが出来なかったのも厳しいと言わざるを得ません。決して出来が悪いわけではないんですが,「これはっ!!」というところがなかったので,積極的に評価することは難しいように思います。惜しいですなあ。


【結論】B
 「バランス良く作り込まれ欠点が殆ど見あたらない良作だが,反面,特筆に値するような“売り”も見られなかったことが残念な一作」。粗なく作り込まれているのはよくわかるんですが,反面,「これは他より優れている」というような特長も見あたらない,良い意味でも悪い意味でも無難・平凡な出来であるため,正直印象に残りにくいゲームだったように思います。個人的には出来の良さや丁寧な作品作りに感心する一方,形容しがたい物足りなさみたいなものも感じてしまいました。うーん,残念。

 マイ萌えキャラ→ルシフェル=ナナリですね。こういうクール系のキャラ,私は好きです。


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