ランスVI−ゼス崩壊− メーカー名:アリスソフト 発売日:2004/08/27 メーカーホームページ:http://www.alicesoft.co.jp/ 評価:A−(85点) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― |
そりゃあ当然このシリーズは買うわなあ,と,まあ,そんな感じでした。 【ゲームシステム及び内容】 昔懐かしい3D-RPG。綺麗に描写されたダンジョン内を歩き回り,アイテムを探したりレベルを上げたりイベントを起こしたりしていくのが基本的な内容。今時珍しい「ひたすらダンジョンに潜ってやり込むゲーム」でしたが,かといって押しつけがましくなく,イベントだけを見たい人(レベル上げやアイテム集めにあまり興味のない人)は必須イベントさえ見れば話がちゃんとわかるように工夫されています(本筋に関係のないサブイベントは見なくてもクリアできるし,また,クリア後に改めて見ることも出来る等)。その一方で,理不尽なまでの強さを持った敵などもわんさかと出てくるので,やり込みたい人にとってのニーズも十分満たしてくれるのではないでしょうか。こういった「人を選ばない」「個々人のやり方に合わせてプレーできるようにする」「繰り返しプレーを強いない」ような配慮は非常にありがたいです。さらにゲーム自体のバランスも絶妙で,いったん始めてしまうといつまでもやめられない,そんな中毒性があります。自分のペースに合わせて熱中できる――このゲームの凄さはまさにそこにありますね。 また,ダンジョンの描写やキャラの移動速度等,動作面でも非常に軽快でした。私はFMV-BIBLO NB75G/Tを使用し高画質モードでゲームを進めましたが,終始動作がもたつくこともなく,サクサクとプレーすることが出来たのは大変よかったです。ここら辺,やはりアリスソフトらしくしっかりと作っているなあと感心しました。 以上のように,このゲームは非常によくできています。3D-RPGとしては模範的な作品だと思いますね。値段に見合った価値があることは間違いないでしょう。ただ,少し不満に感じた点と言えば,やはり「長すぎる」こと……ですかねえ。これはたとえば他社の「幻燐の姫将軍2」などでも不満に感じたことなんですが,プレー時間が長すぎるというのは,一方では「値段の割に中身が充実していた」とも捉えられますが,他方では「次第次第に展開が冗長になって飽きてしまう」「後半になるにつれて段々メリハリのないルーチンワークに近くなり(今作で言えばダンジョンで玉を集める→イベントを見る,の繰り返し),やってて疲れる」等といった問題も生じてしまいます。今作は確かに中毒性は高いんですが,毎回やることは変わらず玉集めに終始することなので,「ああ,また玉を集めてこないとダメかあ」みたいに義務的にプレーする必要が多々出てきてしまうのは個人的にはマイナスでした。 私は,昔はともかくボリュームを求める傾向がありましたが,段々忙しくなってくるにつれ,ボリュームがあってかつメリハリもあるゲームが一番良いと思うようになってきました。その観点で言えば,やはり本作には後者のメリハリが欠ける面があり,そのことが手放しで高評価を出し難い思いに結びついたのではないかと自己分析しています。うーん,ホント,惜しいですなあ。 【システム】B システムはアリス謹製のSystem4.0を採用。「大番長」の時と同じように,従来までのSystem3.9の売りであった軽快さと安定さはそのままに,機能面でも既読メッセージスキップやバックログの装着,マウスへの完全対応,インストール後のディスクレスプレー可能など,かなり充実し遊びやすくなっている点は高く評価したい。ただ,やはり古くささや使いにくさが残っていて,特にセーブ&ロードが限られた場面でしかできないのは非常に不便です。セーブはまだしも,ロードがインターミッション時にしかできないのはダメでしょう。途中でロードし直そうと思うと,いったんSystem4.0を再起動してからでなければダメというのは前から言っていますが面倒くさすぎます。やはり抜本的にシステムをリファインするぐらいの気構えが欲しいなあと思うんですが,ただ,これだけ汎用性の高いシステムを再度一から築き上げるっていうのは現実には難しいのかもしれませんねえ。 【絵】A− メインの担当は「織音」氏。可愛い女の子からモンスターまで何でも描きこなせるベテランの原画家さんですが,今回は氏の持ち味を生かしつつ最近の流行も取り入れてキャラクターを作っており,かなり良い感じに仕上がっています。個人的にはウスピラやリズナ,カオル,志津香なんかがお気に入り(ただ,ちょっと流石にあのシィルはねえだろう,とかは思いましたがw)。最初は「鬼畜王ランス」時の「むつみまさと」氏の絵の方がよかったかな,と思っていたんですが,プレーしていくにつれて,いやむしろこっちの方が良いのではないかと思うようになりました(特にウスピラやカオル,志津香は断然よくなった)。味があってかなり良いんじゃないかと思いますね。◎。 【エロ】A− 相変わらずランス君は淡泊なので,基本的にランスが主体のHはエロさに欠けます。ただ,エロの構図に優れたものが多く(個人的にはウィリスの制服H絵が滅茶苦茶気に入っています),また,ランス以外のキャラにレイプされるシーンではかなりエロさがでているので(ウスピラがモンスターにレイプされるシーンなどが好例),これらを考えるとかなり抜けると思います。てか,少なくとも私は抜きまくりました。なので,抜きゲーとしても結構満足しています。ただ,サイゼルやウィリスに本番Hが無かったのは不満。あと,差分絵の無いHが多かったのも不満。これらはやっぱり声を大にして訴えておかないとねえ。 【音声・音楽】音楽:A−,音声はなし 音楽は「Dragon Attack!」氏が担当していますが,いつものことながら出来は良いと思います。意味不明なまでに楽曲が壮大だったりするのはランスシリーズのお約束ということで(w。個人的には「魔法使いの女の子/R6」や「街の中」,「戦闘3倍」なんかは好きだなあ。 他方,音声はありません。が,これだけ長いシリーズものだと,下手に音声を入れられてキャラのイメージを壊されるよりも音声なしのままの方がいいかな,と個人的には思っています。すくなくとも,プレー中に音声が無くて物足りないと不満に思ったことは一度もありませんでした。 【シナリオ】A− 今更私が語るまでもない,ランスシリーズに連綿と受け継がれてきた設定を今作でも継承して話が編まれています。ですので,私みたいに旧作からプレーしている人間にとっては非常に面白く,また懐かしくもある,そんなシナリオでした。登場人物の個性・性格(特にランスのガキっぽさや破天荒さ)や世界観のハチャメチャさなんかも相変わらずで,やってて凄く楽しかったです。最近のシナリオの流行である泣き・感動・鬱・萌え,これらのいずれもありませんが,その代わりに確固たる世界観や設定がありますし,またキャラ立ち・ストーリー展開ともに十分な出来で,しかも人間的に小気味良いキャラばかりだった(あまり優柔不断なキャラやウジウジしているキャラがおらず,スパッと正論を言う奴が多かった)ので,やっていて爽快でした。特に旧作をやったことのある人には声を大にして勧めたいですね。ただ反面,旧作の設定を前提として話が編まれているので,旧作のうち少なくとも「鬼畜王ランス」はプレーした上で購入された方が楽しめると思います。 【結論】A− 「もう少しメリハリがついていれば言うことがなかったが,でも3D-RPGとしては珠玉の出来。流石はアリスソフト」。かなり遊べます。プレー時間が長すぎるせいで展開が冗長に感じられてしまったのが勿体ないのですが,それ以外の点には殆ど文句のつけようがないですね。個人的には十分すぎるほど楽しませてもらったと思っています。間違いなくおすすめの一作です。 マイ萌えキャラ→個人的にお気に入りのキャラは山のようにいるけど,一押しはウスピラ・真冬かな。「鬼畜王」のときもよかったんだけど,今作では更に可愛らしいキャラになっていてグッドでした。特に跳躍の塔でのサイアスとのやりとり(とりわけTime Over時のもの)とかエンディングロールでの一幕とかは,ベタながら好きだなあ。ただ,だからこそもっと作中でもサイアスとのイベントが欲しかったなあ,なんて強く思うんですが。それと魔想志津香もあのツンデレの凄まじさが激ヤバい。旧作ではそこまで良いとは思わなかったんだけど,今作では魅力爆発。萌えました。あとはやっぱりリズナ・ランフビット。金髪に着物という斬新な外見もそうだけど,心根がしっかりしているところが好きですねえ(騙されやすいけどねw)。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― レビューデータベースに戻る |