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 風の継承者
 メーカー名:Studio e.go!
 発売日:2004/11/26
 メーカーホームページ:
http://www.studio-ego.co.jp/        評価:A−(85点)
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 現代を舞台にした探偵もの風味のファンタジーという設定,そしてそういう雰囲気が滲み出るようなパッケ絵に惹かれて購入。個人的にツボな内容で,発売前からかなり期待していた一作です。


【ゲームシステム及び内容】
 ゲーム内容としてはAVG+SLGの混合型。通常は選択肢を用いて移動先や行動を選択する形をとり,戦闘時には画面が切り替わって,駒を動かし相手を倒していくタクティカルSLGに変わります。

 AVGパートは「EVE」等,昔の探偵ものAVGで良く採用されていたコマンド総当たり式に近い。ただし,どういう行動をとるかで明かされる謎や結ばれるヒロイン,そして結末が違ってくる(つまりマルチシナリオを採用している)点はやや珍しいかもしれません(大体探偵ものだと結末は1つで,任意のヒロインと結ばれるようなことはなかったので)。昔ながらの総当たり式を,好みの女の子1人と結ばれるというスタイル,つまりマルチエンディングの形態をとることの多い美少女ゲームに合うよう,上手く改良しているように感じました。しかも,各ルートで少しずつ謎を明かす(1回プレーしただけでは話の全容がわからない)ようにすることで,繰り返しプレーするインセンティブをもうけている点も良い。ここら辺は感心しましたね。

 また,SLGパートは良くあるタクティカル形式のもの。百聞は一見に如かずなので是非OHPの体験版をプレーして頂きたいのですが,簡単に説明すると,マップ上に配置された駒を動かし,敵キャラを撃破する形式。前面・側面・背面でダメージが違ったり,1回に実行できる行動量に限界があったり(規定のAP値までしか行動できない。AP値は移動や召還,攻撃等の諸行動をとることで減り,各キャラの忠誠度に応じて毎ターン規定量が回復する,という形態をとる),敵キャラと交渉して味方に引き入れたりと,結構やることが多くて頭を使います。難易度的にも適当〜やや難レベルで,ただ漠然とプレーしていると何度も全滅する等,意外と難しくてやり応えがあります。個人的にはこういうスタイルのゲームは昔から大好きでして,とても楽しくプレーできました。

 ただし,何点か気になる点・不満に思った点を列挙すると,

 (1)戦闘をスキップすることが出来ない   スキルや味方モンスターはクリア後にも引き継げるのですが,一度クリアした戦闘をとばすことは出来ず,そのため毎回毎回同じ戦闘を繰り返さなければならないのは,(いくらこういうSLGが個人的に好きとはいえ)流石に面倒です。場合によっては時間等の関係で純粋に話だけを楽しみたい,と思うときもありますから,やはり戦闘スキップ機能は欲しい。たとえば「キャッスルファンタジア〜エレンシア戦記〜リニューアル」のように1回クリアすることが出現条件,みたいな形でも構わないので,パッチでの戦闘スキップの追加を切に希望します

 (2)レベルが引き継げない   先に述べたように,スキルや味方モンスターは引き継ぐことができます。けれども,人間キャラ・味方モンスターともにレベルを引き継ぐことは出来ません(北小路編を除く。また,複数回クリアするとレベルも含めて引き継げるようになります(当方ではサキ→沙織の順でクリアしたら出現)。でも,それなら最初から引き継げるようにしておけよ,というのが私の考えなんですが,どうでしょう……?)。なので,毎回レベル上げに忙殺されることになり,ちっとも戦闘時のプレイヤーの負担が軽減されません。これでは引き継ぐ意味がない,というのが私感です。

 こんな感じです。SLGパートにやや不満に思う点が多かったように感じました。繰り返しプレーを前提にしているだけに,もう少しユーザーに優しい仕様にして欲しかったというのが率直なところです。ユーザーの遊び方や好みは十人十色。全員に合ったゲームシステムを作る,なんていうのは無理でしょうが,遊び方に選択の幅を持たせるよう工夫すれば,6・7人のニーズは満たしうると思います。その点でいうと,本作のように10人中1人にしか対応していない(つまり,制作者側の意図した遊び方しか出来ないようにプレースタイルを厳しく制限してしまっている)のはちょっとなあ……って感じがします。出来自体は悪くないだけに,変に遊びにくくなってしまってかなり勿体ない感じがしましたねえ。


【システム】B
 システム自体はいつものエゴのものを用いているため,エゴゲーをやったことのある人にとっては安心してプレー出来るシステムだと思います。キャラ別の音声ON/OFF機能や各種ボリューム調整機能,バックログ,メッセージスキップ,オートモード等,必要最低限の機能は備わっていますし,動作も安定・軽快で一度も強制終了することなく快適にプレーすることが出来たのは良かったです。

 ただ,いつものことながら(1)セーブ可能数が20個(+オートセーブ枠1個)と少ない点は不満。あと,(2)バックログに音声再生機能が無くなったのも非常に不満です。折角「IZUMO 2」でリピート機能が搭載されたのに,何故今作ではまたこの機能が無くなったのか,その意図・理由がわかりません。それと,(3)誤字・脱字やバグの類も多い。強制終了やエラーなど,プレー自体に支障が出るようなバグは当方の環境(FUJITSU FMV-BIBLO NB75G/T。購入時のまま)では確認されていませんが,たとえば沙織ENDが「晶ED」と表示されるなど,細かいところでの誤表記や不具合が目立ちました。誤字・脱字も多く,かなり萎え。これらに関してもパッチによる修正を切に望みます。


【音楽・音声】音楽:B,音声:B−
 音楽の出来はなかなか。楽曲的に目立って出来が良いっていうのは無いですが,どの楽曲も作品の雰囲気には合っていて聞き応えもありました。BGM然としたものが中心でしたが,悪くないと思いますよ。主題歌も2曲(OP「虹の向こう」,ED「Free Bird」)完備されており,総じて音周りは良いんじゃないでしょうか。ただ,主題歌に関しては,個人的にはEDはちょっとどうかなあ……っていう印象を受けました(それに対してOPは結構好き)。CANDYさんはこういうストレートなものよりも,たとえば「青春のソルフェージュ」や「Daybreak」,「Crimson Sky」,「曼珠沙華」のような癖の強い楽曲の方が合うような気がします。正直,好みの楽曲では無かったですね。

 次に音声についてですが,個人的には微妙。男性キャラは文句なしなんですが,女性キャラに関しては演技がいつものエゴの水準でいえばやや低調に感じました(まあ,あくまでエゴ水準でいえば,ということであって,エロゲー全体でいえばレベルは高いのですが)。声質的にはキャラクターによく合っているんですが,演技面での至らなさがエロシーンを中心にして散見されたように思います。まあ,そんななかでも,サキ(@まきいづみ)のようにグッドなキャラはいたんですけどね。


【絵・エロ】絵:A+,エロ:B+
 担当はお馴染みの「山本和枝」氏。独特の絵柄ながら,可愛くて綺麗な絵です(いうまでもないですが)。今回も大変素晴らしい仕事ぶりで,立ち絵の絵柄の不安定さ(表情によっては別人に見えてしまったり,“イっちゃった”顔になっていたりする)を除き文句のつけようが無いです。絵買いする人が後を絶たない,というのも頷ける感があります。

 特に今回特筆すべきはエロ絵の美しさ・エロさ。とりわけ沙織の制服Hは絵的には完璧というほかありません。制服のデザインの良さやニーソの肉感から,制服の着崩し具合やHの構図に至るまで,着衣Hスキーにはたまらない出来です。尺も長い(破瓜+もう1回と,Hが2回連続で行われるため)ですし,個人的にはこれだけでもう何回抜いたかわからないくらいです。それくらい満足しています。それ以外のキャラのHも着衣Hが中心で,着物・セーラー服・ブレザー・ゴスロリ系(?)他とバリエーションも豊富なので,着衣Hスキーには買いの作品だと思います。ただ,欲を言えば(1)シーン間における服装の齟齬(突然ニーソが脱がされていたり,シャツのはだけ方が滅茶苦茶(殆ど脱がせた状態にしたと思ったら,次のシーンでは胸元をはだけさせた程度に逆戻りしている etc.)だったり,脱がしたスカートを次のシーンでまた履いていたり,と,経過と絵が一致しない点が多々見受けられたこと)や(2)Hシーンの数の少なさ(1〜3回程度),(3)H構図のマンネリ化(氏の過去作品で見たような構図が大半。特に沙織のHはまんま「IZUMO 2」の琴乃のHの体位・描写角度・構図だったので,既視感がありまくりでした),この3つをどうにかしてもらうと,完璧なんですけどね(ただ,(2)に関しては,質を落とされるくらいならこのままでも構わないと思いますけどね)。


【シナリオ】B+
 担当は「石川洋一」「高橋直樹」両氏。で,その出来についてですが,思ったよりも良くできています。会話のテンポ・ストーリー運び・キャラクター造形ともになかなか。特にキャラの造形に関してはかなりのもので,サキの可愛らしさや沙織の可憐さはかなりよく描き出せていると思いますね。また,話の内容についても,内容的にはややクサめかつダサめ(無理にシリアスものとして格好つけようとしたがうまくいかずにコケてしまった,みたいなダサさ)な感もうけますが,勧善懲悪的なものでお茶を濁しておらず,悪くないと思います。臓器移植のような現代的なトピックスや,精霊や亡霊などといったファンタジー要素がいろいろと混ぜ込まれているので,個人的には読んでいて楽しかったです。個人的に好きなんですよね,こういうのごった煮系の現代物シナリオって。良くも悪くもライトノベル的で,細かいところには拘らずに話全体を楽しみたいという方に向くと思います。反面,個々の要素はかなりいい加減に描写・使用されているので,一つ一つの要素に厳密さを要求する手前には厳しいといわざるを得ないでしょう。

 次に話の構成についてですが,マルチエンディングの使い方が上手い。単に攻略ヒロインを決定するだけに用いるのではなくて,ストーリー展開自体も各ルートごとに幅を持たせています。また,それぞれのルートで全容のうちどの部分を明かし,どの部分は謎のままにしておくのかをうまく切り分けているのには感心しました。1回プレーしただけだと全容がわからず,そのため気になって他のルートも攻略しようという気にさせられるのは良いと思いますね。ただ,共通ルートがかなり長い点,これはマイナス。前述の通り戦闘シーンがとばせないため,段々とやって行くにつれて億劫になってしまったのは残念です。やはり,共通ルートはもう少し減らして欲しかったですし,そうでなくとも最低限とばせるようにはして欲しかったですね。さらに,個別ルートの入り方がかなり唐突だったのも気になりました。特にサキルートはいつの間にかルートに入っていて,しかも突然Hに及んだりするので,やっていて「えっ,個別ルートに入っていたの……!?」と戸惑いました。沙織ルートのように,個別ルートに入ったことが明確にわかるよう,話の運びや演出等を工夫して欲しかったですね。

 あと,本作ではマルチサイトシステムを採用しています。つまり,本編(西條の視点で話が展開)のクリア後に北小路編(北小路視点で展開)がプレーできるようになり,本作で問題となっている事件の背景・真相を別の視点から眺めることが出来る,というもの。探偵ものではお馴染みのシステムですが,エゴゲーでの採用は珍しく,結構期待していました。ただ,個人的にはちょっと……というのが正直なところです。誤解の無いように言っておきますが,内容面では問題がないんです。本編とのリンクもしっかりととれていますし,また,本編では説明が不十分だった箇所が鮮明になるよう配慮してあるなど,このシステムを導入する意義みたいなものはちゃんと認識しているな,と感じました。ただ,その描き方が問題なんですよね。つまり,北小路編での話のテンポが速すぎて単品のシナリオとしても,また本編との関係においてもバランスが悪い。シナリオ単品としては序盤や終盤に比べて中盤の展開(特に沙織と初コンタクトをとってからビルに乗り込むまでの展開)が拙速すぎて何も印象に残らず,本編との関係においては「話が早すぎて短く感じる→本編に比べて薄っぺらい印象を受ける→北小路編が本編のオマケくらいにしか感じられない」,と言う感じになってしまいました。これは非常に勿体ない。たとえば,黒崎関連のエピソードを回想的に混ぜるだけで話に十分ゆとりと内容を持たせることが出来る(ついでに場合によってはHの拡充も図れる)訳で,もうすこし工夫して欲しかったなあ,というのが正直なところです。「VAGRANTS」のエヴァシナリオなどにも共通することですが,エゴはもう少し丁寧に,ゆとりを持ってシナリオを書くともっと良くなるのになあ,といつも残念でなりませんね(ただまあ,今作では北小路編でも戦闘を入れるなど,「VAGRANTS」からかなり改善されているので,一概に叩くのは不本意ではあるのですが)。

 それと,やはりテキストの不自然さや誤字・脱字の多さは指摘しておきたいと思います。先にも言及したとおり本作では誤字・脱字が多くて結構萎えます。それにテキスト,特に呼称名でも不自然に感じたところがありました(細かいところではありますが)。兄への呼称名の不一致,つまり兄本人に対して「兄貴」と呼んでいたかと思うと,突然「敬一」と呼び捨てに変わったりするところが典型かな。個人的には兄を呼び捨てにするのにはかなり違和感がありますし,それに会話の最中に突然呼称名を変えるのは変だと思いました。

 取り敢えず,こんなものでしょうか。話の基本軸や設定,キャラの魅力等に関してはなかなかの出来だと思います。個人的には好み。ただ,それを実際にシナリオとしておこしたときに,いくつか問題が散見されたのが残念でした。


【結論】A−
 「AVGとSLGがバランス良く組み合わさった良作。細かい粗はあるが設定・シナリオ的にも楽しんで読める出来で,エロも着衣H的には精選されており,近年の単品のエゴゲーとしては随一の完成度を誇る。ただ反面,SLGパートを中心に,ユーザーに優しくない仕様が目立った」。思った以上に出来が良くて吃驚しました。AVGパートもSLGパートもともにかなり楽しめる出来だと思います。ただ,遊び方がかなり制限される(基本的に戦闘をとばせない)ため,有無をいわせずかなりの時間をとられる点はマイナス。もう少しユーザー個々人のプレースタイルに委ねるという姿勢を出しても良かったような気がしますね。けれでもまあ,作品の出来自体は良く,個人的には大満足の一作でした。

 マイ萌えキャラ→西條サキも可愛くて良いんだけど,やっぱり東野沙織ですね。おしとやか,文武両道,家事ばっちりな完璧お嬢様。「絶滅危惧種に指定すべきだ」という主人公の台詞が妙に印象的でした。あと,やはりエロシーンが最高でしたねえ。


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