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 IZUMO 2 −学園狂想曲−[特別版]
 メーカー名:Studio e.go!
 発売日:2006/04/28
 メーカーホームページ:
http://www.studio-ego.co.jp/        評価:A(90点)
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 ご存じの方も多いと思いますけど,私,ここのメーカーのIZUMOシリーズ(「IZUMO」及び「IZUMO 2」),大好きなんですよね。なので,本作も当然デフォ買いです。IZUMOシリーズの登場人物が繰り広げるラブコメ,こいつに期待していました。


【特別版のパッケージ内容】
 特別版DVD-ROMの中には(1)「IZUMO 2−学園狂想曲−」本体(2)「IZUMO完全版」,(3)「IZUMO 2」が収録されています。まあ正直,こういう売り方は賛否両論があると思いますけど(特に旧作保有者にとっては),個人的には本作で初めてIZUMOシリーズに触れた人が,旧作にも気軽に触れられていいんじゃないかと思っています。シリーズものは最初からプレーしている人間にとっては作品世界がどんどん広がっていって嬉しい反面,どうしても中途参入者にとっては敷居が高くなってしまう(前提とされている設定や旧作での内容がわからず,話に上手くついていけない等)傾向にありますから,その点では「旧作もまとめてプレーできる」本作の特別版仕様は良いんじゃないでしょうか。それに,こういう売り方に賛同できない人や本作だけを楽しみたい人は通常版を買えば良いわけで,賛同できる人が特別版と通常版の差額で旧作2本を購入した,と思えば私は割り切れるんじゃないかなあと思うんですけどね(マーケットバリューが不変で,常に購入した時の価値(すなわち定価)で新規ユーザーに対しても販売しろ,というのはマーケットというものを無視したユーザー側のエゴだと思いますしね)。少なくとも,旧作を全て購入している1ユーザーとしての意見を書かせて貰えば,そんなに抵抗感は無かった,というのが本音です。

 ただ,流石に(2)・(3)は旧作をそのまま使い回しただけですし,「IZUMO 2[DVD版]」のときの「IZUMO完全版」のように旧作からかなりの改善・追加が図られている,というわけでもないですから,「IZUMO 2[DVD版]」ほどの衝撃・感動は無かったですねえ。


【システム】B−
 いつものエゴのシステムです。エゴはレイアウトも含めていつも同じシステム仕様のため,一度でもエゴゲーをやったことのある人にとっては安心してプレー出来ます。キャラ別の音声ON/OFF機能や各種ボリューム調整機能,メッセージスキップ,バックログ,音声のリピート機能等,必要な機能は概ね備わっていますし,動作面でも(動作環境を満たしていれば)安定・軽快。及第点は確保していると思いますね。また,本作には1度見たシーンをシーンごとスキップできる機能が搭載された(しかも既読シーンのスキップのON or OFF or 任意選択をプレイヤーが設定できる)のですが,これは便利。非常に助かりました。

 ただ,いつものことながら(1)セーブ可能数が少ない点は勘弁して欲しいところです。特に本作はセーブ&ロードを繰り返して潰し込んでいく必要のあるゲーム(詳細は【シナリオ】項にて言及します)なので,セーブ可能数が少ないのは致命傷に感じました。いい加減直してくれよ,これは……。あと,(2)メッセージスキップの速度がやや遅い(特に場面や表情,発話者が切り替わるとき)点も気になったところですね。

 総じて,エゴゲーに慣れた人にとっては使いやすいシステムだと思います。ただ,細かいところではまだまだ改善を要するところがあるかなあ,というのが本音ですね。


【音楽・音声】音楽:C+,音声:A−
 まず音楽について。BGMは良くできています。「IZUMO 2」でも述べたとおり,西洋ファンタジーとは違う日本神話っぽさみたいな独特の雰囲気があって個人的には好きです。でも殆どが旧作からの使い回しなので,評価するとなると若干難しいところがあるんですけども(苦笑)。ただ,主題歌はちょっとなあ……。個人的にはあまりCANDYさんの歌って好きじゃないんですよね(好きな曲もあるんですが)。本作の主題歌に関しても,惹かれるものが無かったというのが本音です。むしろ「IZUMO 2」のほうが主題歌は好みの楽曲でした。残念。

 他方,音声は男性を含めてフルボイス。いつものことながらエゴの良い点はこれですね。やはり男の声だけ無いと間の抜けた感がありますから。しかも演技レベルも高い。女性陣も新旧キャラともに実力派の布陣を敷いてきていますし,おそらく誰にとっても満足できる出来だと思います。ただ,1つだけ不満な点を述べるとすれば,主人公の声……かな。声質は良いんですが,やや演技力に難があるように感じてしまったのは残念なところです(特に,主人公が砕けた態度を取るときに,台詞が棒読みに近くなってしまう点は気になりました。勿論意図的に棒読みにしているシーンはありましたけど,それ以外の棒読みでは明らかにおかしいシーンでもそうなってしまっているように感じられてしまった点はどうかなあと思いました)なところです。不満はおおよそこれだけですかねえ。総じて満足のいく出来だったと思います。


【絵・エロ】絵:A−,エロ:B
 担当は「山本和枝」女史。(若干の癖がありますが)綺麗な絵を描かれる方で非常に良いです。着衣Hの徹底っぷりも相変わらず(制服,巫女服,メイド服,私服,チャイナ服等を完備)で,私のような着衣H至上主義者にとっては福音ですね。今回は特に琴乃の制服H(保健室でのH。ニーソックスのしわ寄せ具合・光沢や,服のはだけ方,スカートのしわの寄りかた等の描写が◎)や凪の私服H(1回目・2回目とも。ストッキングの描写や体位が私好み)が,ニーソックス・ストッキングの描写具合と相俟って個人的にはGOODでした。ここら辺は流石だと思います。また,本作で取り入れられているデフォルメキャラも可愛く,作品中でコミカルな感じを良く出せていたのには感心しました。

 ただ,若干「IZUMO 2」に比べて絵柄が不安定(個人的にはこれや「VAGRANTS」の頃の絵柄が女史の絶頂期だったように思います。このころの絵の洗練具合は凄まじかった)で,顔のデッサンが狂い気味(特に回想シーンの絵)だったのは気になりました。また,Hの体位のレパートリーが少なく,過去のエゴ作品で幾度も見かけた「ワンパターン」なものばかりだったのは残念でしたね。やはりエロゲーである以上,体位には人一倍気を遣って欲しいものです。あと,やはり言及しなければならないのが制服の変更……ですかねえ。はっきり言って前作の「白と黒をベースにした清楚なセーラー服」のほうが魅力的で,かつ扇情的だったように思います。制服のデザインを変えてしまったことで,却って絵柄の魅力が損なわれてしまったのは勿体ないの一言ですね。


【シナリオ】A− (以下若干のネタバレ有り。注意!)
 担当は「寺岡健治」「石川洋一」「なかひら」各氏。今回驚いたのはまさにこの点。予想以上に精緻に仕組まれたシナリオで,個人的には強く感心しました。

 まずシナリオの内容としては,「IZUMO 2」から暫く経った現代世界(アシハラノクニ)に別世界(ネノクニ)のキャラ達が突然来訪し,それによりなかば不可避的に巻き起こされるドタバタを描いた学園ラブコメADVゲーム,と言ったところです。旧作キャラだけでなく新作キャラも設定し,造形がしっかりしていて活き活きとしたキャラ達を使って,楽しくドタバタを描いています。私が上手いな,と思ったのはこのシナリオの構成。本作では

   共通ルート─┬──サクヤルート─┬──@サクヤエンド       
         │         │                ┃パラレル
         │         └──A旧作各ヒロインとの後日談 ┛ワールド
         │
         └──凪ルート───┬──B凪エンド
                   │
                   └──C汀エンド・ヒミコエンド

 大まかに言えば上記のようなシナリオの構成になっています。サクヤルートと凪ルートを機軸とし,そこから派生する形で各ヒロインのルートがぶら下がっている,とお考え下さい。本作の基本はサクヤルートなんですが,凪ルートがそこから独立して設定され,サクヤルートを裏から見る,みたいな位置づけになっています。そのため,現在の恋人(サクヤを中心とする旧作各ヒロイン)をとるか,前世からの恋人をとるか,といった選択を構成上取らせているところは巧みだと思います。

 また,@の「サクヤエンド」とAの「旧作各ヒロインとの後日談」をパラレルワールド化させて描く(詳細は激しくネタバレ故省略。とあるアイテムを使って分岐させています)ことで,本作独自の展開(=サクヤ・凪との恋愛物語)と旧作ユーザー対象のファンディスク的位置づけ(=自分が攻略したヒロインとのその後を楽しめる)を1つのストーリーのなかにともに組み込めているのには感心。しかも,Aのルートを経ることで@のTRUE ENDへの道が開かれる(詳細は同じくネタバレ故省略),といったように,Aをクリアする必然性をしっかりと持たせている点も○。

 この点だけに限らず,本作では話の本筋・重要性の低い脇道ともに縦横に伏線を張り巡らしており,最初気にも止めていなかった設定や出来事の顛末が他のイベント・他のヒロインのルートを経ることで明らかになり,「あ,あれってそういうことだったのか」と気づかされることが多々あります。なので,1回プレーしただけでは話の全容はつかめませんし,また,TRUE ENDをクリアすることも出来ない(それ故,虱潰しに選択肢を潰して行かざるを得ないので,ADVゲームとしての難易度は高めだと思います),そんな作品です。他社作で言えば例えば「蒼色輪廻」などと類似したシナリオ構成で,こういった作りが好きな私にとってはとても楽しくプレーできました。

 ただ,不満がないかというとそういうわけでもなくて,例えば(1)話に大きな流れがあるわけではなく,ストーリー自体はやや単調で盛り上がりに欠ける点(2)テキスト上に誤字脱字が散見される点などはちょっと残念な点でした。また,(3)サクヤ&凪と他のヒロインでは扱いに差がある(本作では前者2名がメインに据えられており,他のヒロインはパラレルワールドで攻略できるにすぎない)為,サクヤ以外のヒロインにLOVEな方にとってはやや割り切れないところがあるかもしれません。あと,(4)ただ回想モードに個々のイベントを登録するのではなくて,自分が今どういうステータスにいるのかがわかるよう,樹形図上にオートマッピングしてくれる機能(並列世界の手法を用いているゲームでは良くある機能。例えば「蒼色輪廻」の走馬灯システム等)があると尚良かったのではないでしょうか。


【結論】A
 「人気作を流用したファンサービス・場つなぎと思いきや,意外としっかりとした作りで感心した一作。IZUMOシリーズ初心者は特別版を,既体験者は通常版を購入することを勧める」。最初は虎の威を借る狐じゃないですけど,人気作品の設定を流用した手抜きなんじゃないかと思っていました。でも,意外や意外,しっかりと作り込んであって感心しました(特にシナリオ)。IZUMOシリーズに思い入れがある方は勿論,TV版やコンシューマ版等でIZUMOシリーズに感心を持った方や全くの初心者の方にもお薦めできる一作です。ただし,シリーズものの常で,前作までの設定を前提として話が紡がれている点が多々ありますので,シリーズ未体験の方には特別版の購入(そして旧作2作品を先行してプレーすること)を強くお薦めします。まあ,いずれにせよ,IZUMOの世界観に惹かれる方には自信を持ってプッシュできる一作です。

   ■評価明細■ 「IZUMO 2 −学園狂想曲−」単体(通常版):A−(80)

          「IZUMO 2 −学園狂想曲−」特別版(旧作含む):A(90)


 マイ萌えキャラ→相も変わらずですがアマテラス北河麻衣冬木凪,この3人で。やっぱりこの3人はガチですなあ。今回は特に後者2人の魅力を十分に満喫できて◎でした。



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