アキバ系彼女 メーカー名:G.J? 発売日:2003/10/24 メーカーホームページ:http://www.teck.co.jp/gj/ 評価:B(70点) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― |
元からテックアーツは良く買うメーカーですが,今作は「佐野俊英」氏と「んじゃが倫也」氏のゴールデンタッグと聞いて,購入意欲急上昇。もち,即決で購入しました(因みにメーカー通販利用)。 なお,私のレビューの他にGF長官さんからご投稿頂いたレビューもあります。比較対照して頂くと,より評価しやすいのではないかと思います。 【システム】A− いつものテックアーツのシステム(Live Maker)ですが,今作ではついにバックログに音声再生機能が装着。永らく不満に思っていた点が改善され,非常に良かったです。機能的に不足だと思う点は全くなく,頗る使いやすいシステムになっていました。また,動作も軽快かつ安定しており,◎。いつも通りフルインストでディスクレスプレーも可能ですし,システムはほぼ完璧に近い出来だと思います。「未亡人」や「凌辱制服女学園」,「DOOP ADVANCE」などで不満に思っていた点がほぼ全て改善されていたのは感心しました。 ただ, (1)インストに時間がかかりすぎる&容量食い過ぎ インストにかなりの時間がかかります(20分くらい)。ちょっと長すぎる気がしますね。あと,容量もおおよそ2GBと食い過ぎ。パートボイスなのに何故ここまで容量を食うのか謎。昔のテックアーツ作品,例えば「失楽の神女」などでは,あの長いゲームにフルボイス仕様でもフルインスト1.2GBなのに,なんで今作が2GB?と思ってしまいました。もう少し,容量をシェイプアップする努力はして欲しいものです。何でもかんでも増やせばいいというものではないと思いますね。 (2)なぜかOPが再生されない OPになっても音楽が流れるだけで画面は真っ白。これはバグ? (3)起動時に毎回プロローグを飛ばすかどうか選択させられる 2回目以降に起動すると,毎回プロローグをみるかどうか聞かれます。これが意外とウザイ。「未亡人」と違って反応が鈍くてなかなか飛ばせない,という欠点はありませんでしたが,やはり毎回選択させられるのは面倒でしたね。起動したらすぐにタイトル画面に飛んで,何もせず暫くそのままにしておくとOPムービーが再生される,という仕様の方がいいと思うんですけどね。 以上3点は不満なところ。次回作以降では改善されていることを切に願います。 【絵】S 担当は「佐野俊英」氏。氏はロリもお姉さんもなんでもござれのずば抜けた画力で有名な方ですが,今作の原画は今まで以上に超ハイクオリティ。個人的にはもはや神の領域だと思います。特に恋endの最後のCGは,余りの美しさに惚れましたよ,マジで。立ち絵は綺麗,エロ絵は淫靡,通常一枚絵は芸術的,と,文句のつけようがありません。凄すぎ。やっぱ佐野氏の絵はお姉さん系のゲームの方が映えるなあ。塗りも美麗ですし,絵だけでも購入する価値はあると思いますね。文句なしで【絵】部門S評価認定とさせて貰います。゜∀゜)b Good Job!! 【音楽・音声】音楽:B+,音声:D−(B+) 音楽は取り立てて評価に値するようなものはありませんでしたが,作品の雰囲気には非常に良くあっています。曲のバリエーション・数ともに申し分なく,作品を上手く盛り立てていた点は高く評価したい。 他方,音声についてですが,これが本作最大に問題点。まず,配役的には最適で,演技力・キャラとのマッチ具合とも,申し分ありません。個人的には声が全体的に高め(「未亡人」や「凌辱制服女学園」で述べたのと全く同様の理由による)なのが気にはなりましたが,ただ,今作では作風からか,その2作よりは違和感は感じませんでした。 しかし,音声がパートボイス。この仕様が最大の問題です。テックアーツは昔からパートボイス仕様が多いですが,今年に入ってから殆どフルボイス仕様になったので安心していました。しかしまさか今頃パートボイス仕様に戻るとは……(唖然。しかもちょっとやそっとの省略具合ではなくて,大切な告白シーンや修羅場シーンなどでも音声がないことがしばしば。さらに突然音声が無くなったり,逆に突然音声が出てきたりして吃驚することも多数。個人的には今作は会話などがイケてるだけに,パートボイス仕様は非常に不満でした。こういう時代の潮流に逆行し,作品の雰囲気を台無しにするような行為は許し難いものがあります。私は音声必須論者ではありませんが,「入れる必要があり,かつ入れられるのに入れない」という所行は許容出来ないので,敢えてこのような低評価とさせて頂きます(音声自体の出来はB+評価ということで)。 【エロ】C− エロは薄いです。フェラやパイズリもありますし,チュパ音とかもちゃんとあります。更に姉妹とのHという背徳感の作出や,エロ絵の構図・表情・着衣Hの具合なども,文句のつけようがありません。ですからエロ自体は悪くないんですが,けれども,数が少ない。しかもエロシーンが後半に集中しているので,到底気軽に抜くためのツールとすることは出来ないでしょう。ですので,ヌキゲーとして買うのはお薦めしません。反面,普通の純愛系ゲームとしてなら,エロ的にも満足出来ると思います(ラブラブな和姦が殆どですし)。 あと,折角コミケとかでイイ感じのコスプレをしているのに,その衣装で着衣H出来ないのはかなり(´・ω・`)ショボーン。特に鳩子姉はあの衣装で本番までしたかったです……(;´д⊂)。 【シナリオ】B+ 担当は「んじゃが倫也」氏。テックアーツ時代のMay-Be SOFT(「エスケイプplus」,「Sixty-Nine」,「−スガタ−」,「えらぶる」,「Cage」)ではおなじみのライターさんです。氏は旧メイビーやG.J?のOHPにある開発日誌をみればわかる通り,ギャグシナリオではかなりぶっとんだものを書かれる方(でも,シリアスなものや陰惨なものも書けるのが凄いのですが)で,私自身,それを想定して購入しました。 確かに,本作でもそのようなギャグシナリオはあります。「恋の白兵戦」などはその極みで,あまりの弾けっぷりにニヤニヤしながらプレーしていました。また,コミケ会場にノーマルな女の子を連れてきたときの違和感とか不自然さというのも大変良く出ていたと思います(ただ,私はコミケに行ったことがないので,これが本物なのかはわかりかねる面がありますが)。 けれども,本作ではそれがメインではありません。ギャグが展開されるのは第一幕までで,第二幕以降はシリアスな話になっていきます(第一幕中でも所々にその片鱗・伏線が出てくるのですが)。私はこういう話になるとは全く思っておらず,かなり吃驚しました。ネタバレになるので詳細は語りませんが,すくなくとも本作は「普通の女の子をアキバ系に仕立て上げる」ことに主眼が置かれたゲームでは無いことだけは確かだと思います。 でも,確かに期待は裏切られましたけど,私はこういう話は嫌いではありません。使い古された設定かも知れないし,また現実的な恋愛を好まれる方(ファンタジー要素等を排除したい方)やギャグ目的で買われた方にとっては噴飯ものかも知れませんが,個人的にはただアキバ系な世界に嵌っておしまい,というよりもよっぽど後味が良いと思います。 また,登場人物のキャラがかなり良く立っている点も良い。各ヒロインのキャラ立てが十分でしかもみんな良い子ばかりなので,かなり萌えます。特に,一生懸命主人公に振り向いて貰おうと,懸命にアキバ系になろうとするヒロイン達の姿は溜まりません(;´Д`)ハァハァ。さらに,一見アキバ系のダメ人間に見える主人公なども,じつは思考自体は至極まっとうで,自らの弱さをアキバ系という属性を持ち出して隠そうとしているだけだと思います。つまり,アキバ系という属性はあくまでも隠れ蓑に過ぎません。そして,最後には女性と付き合う過程でそのような隠れ蓑を脱ぎ捨て,(作品中での)現実に直面する,そういう設定になっているのは良いと思います(注意して頂きたいんですが,彼女と付き合うために自らの趣味を捨てるとか,そういうレベルの話ではないので念のため)。 最近流行の「みんなでアキバ系に染まってアキバ的世界で生きよう」といったようなモラトリアム的な話では無く,あくまでアキバ系という設定を利用した純愛系シナリオです。ですので,アキバ的世界に浸かりたい方やギャグのみを求められる方には厳しいですが,そうでないなら十分楽しめる出来だと思いました。 【結論】B 「超美麗な絵で描かれる女の子たちの健気な姿に萌えるゲーム。ただエロ薄とパートボイス,とりわけ後者は大問題」。ヌキゲーやギャグゲーとしては厳しいですが,萌えゲー・純愛ゲーとしてはなかなかの出来だと思います。また,序盤の会話などもマニアックで面白く,かなり出来は良いと思います。ただ,だからこそパートボイスなのは非常に痛い,そう思いました。こういう,会話やヒロインとのやりとりを楽しむゲームでパートボイスにするのはマジでやめてくださいよ,テックアーツさん……。 マイ萌えキャラ→鳩子姉もいいけどやっぱ蒼井恋たん! 健気なのがいいですねえ。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― レビューデータベースに戻る |